秒、分、時、
日、週、月、と区切り分け
十二重ねて、めでたく一年(ひととせ)。
そんなことを、発明しなければ人類は
一年先の未来の景色を
回し車の中でなく
荒野の先の水平線に見たかもしれない。
そんな空想。
#7 お題:一年後
うわ。好き。
べたっと座って靴紐を結んでいた体育館。
背の高いあなたに声をかけたら、わざわざしゃがんで目を合わせてくれた。
初対面。笑顔。両手のバスケットボール。
うわ。わたし。あなたのこと何にも知らないのに。うわ。うわ。こんなことで。
#6 お題:初恋の日
あなたが、
あなたと、
あなたの、
あなたは、
あなただけでも。
ごめんなさい。
あなたの明日が来ないなんて。
そんな酷い世界のことを、母は嘘でも考えられませんでした。
#5 お題:明日世界がなくなるとしたら、何を願おう
あれは、給食の時間でした。
貴女の机を食事時の向かい合わせに動かしたのは、優しさからではなく、怖かったからです。
ド金髪化粧遅刻常習校則違反過多の貴女。
だから、貴女が自分の机を見て、わざわざ誰がやったのか特定して、わたしの前に来たときも怖かった。
命をかけてカールした前髪の間から、大きいことが全ての瞳を覗かせて「ありがとう、○○ちゃん」とは思ってもみなかった。
あの時、恥ずかしさでいっぱいで何も返せなかった。
でも、こんな些細なことで、わたしにお礼を言ってくれたのは、それから先も貴女だけだった。
今でもずっと、貴女へのありがとうは、わたしの口に残ったままです。
#4 お題:「ありがとう」そんな言葉を伝えたかった
馬鹿にしている。
尻尾をふって喜ぶと思っている。
見下している。
這いつくばって拾うと思っている。
誰がそんな安い人間なものか。
誰がそんなもの欲しがるか。
わたしはここに立っている。
そして進む。どこまででも。
一人で行ける。
ひとりでゆける。
だからたのむ。
#3 お題:優しくしないで