題 愛情
君は相変わらずだね
滅多に喋らなくて、笑わなくて
変な所で見栄っ張りで
私の顔よりも、空を見ている方が多くて
変わっている
かと思えば
手帳には、記念日の日付には大きいハートの中に
デートのプランがびっしり、チラシの端っこに
プレゼント ぬいぐるみ クマ? ウサギ?
なんて文字が、ぐしゃぐしゃの線の下にのぞいている
そんな変に秘密主義な所も変わらない
ほんとに変で、素直じゃなくて
誰よりも愛しい人
少し前は、みんなマスクを着用していなかった
少し前は、アルコール消毒液を頻繁に見かけなかった
少し前は、微熱で外出を躊躇しなかった
少し前を返して
マスクを押し付けないで
消毒液なんてしまって
微熱でいちいち騒がないで
これ以上、不安と抑圧をばら撒かないで
題 落ちていく
もう駄目だ、潔く手を放そう
身体は逆転して、足で天を仰ぐ
景色が吸い上げられる様に下へと滑って行き
風で包装された音を聴く
これが感覚の断末魔
境界線を越えた証
しどけない心模様が続く
「明るくなくても、精一杯過ごそう」と思っても
僅かな隙間を見つけては侵入し、途端に展開する
乾燥することによって
生まれた隙間から入って来るんだと思う
生気の粒子が舞い、搦め取って去って行く
冷気は魔物の息吹。人々は心体共にくしゃくしゃで
白痴の列が一つ、また一つ
冬になったらいつも見れる百鬼夜行
題 はなればなれ
蒼い空を、私は得た
文字通り、掌中の珠を得た様に周りには映るだろう
その為の演技には力を注いで来た
人々も、まさか知るまい
得られたのではなく、得ざるを得なかったのだとは
だがこれで良い
この毒は、彼では耐えられない
あの人は蒼い空を得た
その直後、いや、その少し前から
私に対し、冷淡になった
本人は、私が気付いてないと思っているだろう
だが、言わなくてもわかる
持つ手は震え、足は力んでいる
何より、眼はいつも、あの頃のまま