あ、来てくれたんだね

来週、退院だってさ

早めで良かった〜

どうしたの？涙なんか流して

大丈夫だよ

「ありがとう」とも「愛してる」とも

言う事は出来ないけれど

「感情がすぐ顔に出る」って

君が教えてくれたじゃないか

言葉なんていらない、ただ…

僕は僕のままでいい

だから、何も変わってないよ

え？あっ！？えっと…

散らかってるからあまり見ないで

別に、ただの風邪だから

来なくて良かったのに

…嘘、ありがと

うん、もう大丈夫

だから明日、家で待ってて

今度は、私が会いに行くから

雨に濡れても、打たれても

起きた事をなかった事には出来ないし

誰かが喜ぶわけでもない

それを知っているのに

あの子はずっと佇んでいる

今、私が言葉をかけても

一滴の雨音にも及ばない

今、あの子の中には音が流れている

それが鳴り終わる時

顔を上げ、また前に進める

読み返した事すらなかった

ただ淡々と、なんとなく

始めただけだったから

きっかけも忘れてしまって

ここにも書かれていない

でも、読んでみると

意外に捨てたもんじゃない

今、自分はかけがえのない

自分を辿っている

あなたは

私の料理を食べても

「うまい」しか言わない

朝、さきに起きても

「ねぐせ」と言って

私の頭を小突いてくる

しかも、無表情で

でもね、わかってるんだ

「今度、これ作って」って

期待してくれてること

私の寝ているフリに気付かず

髪を撫でていること

向かい合わせじゃなくても

ちゃんとわかってる

どう？すごいでしょ？