子供のままでいたならば
世界はもっときらきらして見えたかもしれない
石ころひとつにさえ世界を見つけ
言葉ひとつで宇宙に行ける
想像力の魔法で
どんな現実も塗り替えられる
でも、
どこかで子供のままだから
世間が苦しくつまらないのかもしれない
他人から親のごとき支配を受け
尊厳は簡単に踏みにじられる
戦う力は得たはずなのに
仕方がないと甘んじる
もう想像の世界に逃げることもできないのに
子供の心を忘れずに
戦う覚悟を持てたなら
世界を少し素晴らしく
創造し直せるかもしれない
明日世界が終わるなら
今したいと思うこと
小さなことでもひとつずつ
今日も明日も明後日も
していきたいと思うのです
ほんとに終わりが来るときは
きっと時間は残されない
ただ流れてく毎日に
大切なことを欠かさずに
編み込みたいと願うのです
まず静寂が訪れる
限界まではりつめた空気を
すっと切り裂くのは魔法の杖
やがて音が灯りだす
いくつもの旋律を重ね
ひとつの世界が組み立てられる
その世界ではひとりとして欠けてはならない
誰かが欠ければ綻びる
失敗の許されない濁流のなかでも
耳を澄ますと見えるはず
あなたに寄り添うメロディーが
共に流れるあなたの譜面が
さぁ遅れないで、置いていかないで
足並み揃えて一緒に行こう
美しい世界の終わりまで
『耳を澄ますと』
わたし人に優しくするのやめたの
そう言った彼女は、優しさは犠牲だと嘯いた
誰かに優しくするとき、人はどこかで自分を蔑ろにするのだと
犠牲を払って振る舞われる優しさなど欲しくはないと
その引き結んだ口許
きっと彼女は色々我慢してきた
我慢して、自分を圧し殺してまで周りの人に優しくしてきたから、少し疲れてしまったんだね
大丈夫 それなら少し休もう
他人への優しさはお休みして、今は自分に一番優しくなるんだ
傾いた天秤が戻るまで
そうして自分のお皿が床に着いたら、また少しお裾分け
それまでしばしの休憩を
『優しくしないで』
楽園とはそこに在らぬもの
それは愛するものを見つめる眼差しに
在りし日の懐かしい光の中に
苦しみから自らを助けだしたある日のさきに
平穏を見つけた人の心の中に
ふと目を開いたときに
そこに現れるもの