テーマ“失恋”
もう、どのくらい泣いただろう。
ずっと、頭の中で同じ場面をループしている気がする。
「好きです」
「ごめん。俺は君を嫌い」
そんなハッキリ言わなくても
そう思った。
嫌われる事をした記憶も
好かれる事をした記憶も
そもそも、会話すら余りした事が無いのに
いつの間にか嫌われていた。
別に、付き合えたらとは思っていない。
好かれているとも思っては居なかったし。
認識をされていると思っていなかったし。
告白をするつもりも無かったのに
何故か告げていた。
見かけて、声を掛けたはいい物の
何を話したらいいのか分からなくなり
つい、言っていた。
「好きです」
に、まさか
「嫌い」
だと返って来るなんて思いもよらなかった。
見つめているのがバレて気持ち悪いと思われていて
嫌われていた…とか?
彼がモテないなら、そうだとしても(酷い言い方)分かるけど
彼は人気者だ。
そんな彼を何処で誰が見ていても、噂していても、全く気にしてないと思っていた。
それなのに、嫌われていた?
私の存在そのものが、彼の好みからかけ離れていたとか、そういう理由だろうか。
別にストーカーしていた訳でもないし
隠し撮りをしていたとかも無い。
それなのに、振られた?
意味が分からなすぎて、ずっと泣いている。
辛い悲しい苦しい切ない。
…失恋の悲しみよりも
混乱して涙が出ているだけなのだろうか。
テーマ“梅雨”
学校の教室。
登校時は晴れていたから、傘を忘れた。
外は雨。今は放課後。
帰宅部だからさっさと帰って
ぐうたらしようと思っていたのに
傘が無いから帰れない。
迎えに来てもらうにしても、両親ともまだ仕事中。
祖父母はどちらもかなり遠距離(笑)
兄弟姉妹居ないから
途方に暮れている。
学校に自由にお使いくださいの置き傘は
あったけれど
残っていたのは、明らかに
穴が空いていたり、錆びていたり
ホコリを被っていたり、蜘蛛が巣を張っていたり
正直触りたくない。
潔癖症では無いけど、流石に無理。
教師には、親の仕事が終わるか、雨が止むまで
教室に居させてほしいと頼んである。
渋々ながらも、承諾してくれた。
田舎の学校。コンビニまで片道20分。
その間にずぶ濡れになる。
夏服に変わったばかりだから
雨に濡れたくない。
ブラウスが透けて下着が!とかそう言うのでは無く(ベストがある)
ブラウスが体に張り付くと、簡単に脱げなくなる(着替えの時)のが嫌。
ぐうたらタイムが、減る。
いや、既に減っては居るんだけど。
「あれ、えっと…」
教室の出入り口に、同じクラスでサッカー部のカナメくん(名字)がいた。
「あ、教室に用事だった?着替えとかするなら外出ていようか?」
椅子から立ち上がると
「いや、えっと、君…帰宅部だよね?帰らないの?」
陰キャでカースト最下層の私を知っているだと?
名前は知らないようだが。
「それがですね、傘を忘れて。学校の置き傘もまともに使えそうなのは無くて」
「凄い雨だよね。台風並みって言ってた」
「台風!?」
「ああ、いや、今ここにあるのがじゃなくて…」
つまりは、物凄く豪雨が降ってる地域があるらしい。
「迎えは?」
「うちの両親、まだ仕事中で。」
「そうなんだ?…あの、良かったら、途中までかもしれないけど、一緒に帰らない?」
「え゛!?」
今まで出したことがないような声が出た。
「嫌ならいいけど、困ってる人は放っておけないし」
「駅まで行きます?」
「地下鉄?」
「そうです。」
「…地下鉄通学だったりする?」
「そうですね。」
「……俺もなんだけど」
「わぁ、何という偶然。」(棒読み)
私は知っていた。何度が同じ車両になったこともあったし、隣に立ったこともあった。(偶然)
「じゃあ、地下鉄の駅まで一緒に帰ろうか」
…本当に良いんだろうか。
私。
だが、迷わない。好意は受け取る!
「ありがとう、よろしくね。」
そう言って、カナメくんがユニフォームから
制服に着替えるのを待ち(見てはいない)
一緒に帰った(駅まで)。
陰キャが一瞬だけ
陽キャに慣れた瞬間だった。
テーマ“透明な水”
ああ、私は今…夢の中に居るんだなと感じた。
手を零れ落ちる水はなんの温度も感じない。
手から零れ落ちるだけにしては、量が多い。
上から水が降り注いでいる訳ではないのに、止めどなく溢れている。
この手から溢れている水は
きっと私が諦めた夢の数。
何にもなれなかった私の夢が
夢の中で、ただの透明な水になって
止めどなく零れ落ちている。
両の手を離すと、今度は、目から
細々とした、透明な塩水に変わる。
夢を諦めた後悔が、涙に変わり
止めどなく零れ落ちる。
さっきまで、水を溢れさせていた両の手を使い
涙を拭う。
拭っても拭っても、止まることを忘れてしまったのか
涙は止まらない。
このまま泣き続けたら、私は干からびてしまう。
そう思いながらも、現実では泣く事を忘れてしまった私は、夢の中だから、今まで忘れていた分
泣こう。そして、目を覚ましたら、この夢を忘れよう。
そう思い、延々と泣き続けた。
(テーマあんまり関係ないな)
テーマ“後悔”
私の人生は殆ど後悔で出来ている。
ああすれば良かった。
あの時、あんな事しなければ良かった…。
とか。
まあ、後悔するという事は
何かをしたという結果なのだから、
(何もしなかったと言う後悔も、あるけれども。)
少しだけだけど、後悔が薄れたり……
しないかなと思ったり。
………買った果物
大事に大事に食べていたら
最後辺り、腐っていたと言う後悔は
何度か繰り返す。
大事に取っておいた
好きな食べ物、誰かに取られた
と言う後悔も…
結論。食べ物の恨みは忘れぬ…
テーマ“刹那”
月がてっぺんに昇る頃
私は、駆けていた。
侍が闊歩する時代にタイムスリップしてしまった私は
たまたま着ていたのが浴衣だったという事もあり
難なく、この時代に馴染みつつあった。
そう、そのせいで、油断していたのだ。
この時代に、偽名を名乗っている隠れながら活動していた人の本名を
思わず呼んでしまった。
数刻前まで、笑顔で話をしていた人が
私に刀を向ける。
あ、ヤバい。
そう思った。
足をもつれさせながらも、彼らから逃げる。
隠れる場所などない。
何故なら、此処は彼らの縄張りだから。
身を隠す術は彼らには敵わない。
「居たぞーー!こっちだー!」
なんて声が聞こえ、前後左右全ての道を塞がれている。
ああ、私もここまでか。
そう思った。
なぜ今日なのか。
なぜ今日はこんなにも月が大きいのか。
スラリとした白刃が私に振り下ろされる。
その刹那、私は走馬燈を見た。
(歴史物のゲームをやった影響で、こんな話になった。)