自分に無いものに憧れる
今日もあの空を見ながら
気付いてないのだその鳥は
そのために何の努力もしてない事に
知らないのだ
その籠にどれほど守られていたかを
籠はとっくに錆びれきっているのに
行きたきゃ行けよ、あの空へ
立派な羽を見せびらかせて
どれだけけしかけても飛ばないのだ
変わらずそこで綺麗に歌ってみせるのだ
どうしてかは知らないが
「籠鳥雲を恋う」
とはよく言ったものだ
そうだよなぁ
憧れるだけなら楽だもんなぁ
「友情」なんてものは
自分に一番縁のないものだと思う
どっかのお偉いさんの話しじゃ
友達が多ければ多いほど
人生大成功するらしい
占いは信じないけど
それだけは100%合ってると思う
今のこの僕自身が何よりの証拠
今更友達の作り方なんて聞けないし
出来たところで気を遣わせてしまいそうだ
小さい世界を壊されたくなくて
自分のこの自己中さに呆れもした
実際軽蔑もされたし、縁も切られたよ
数え切れない程にね
でも、それでも
僕に優しくしてくれる人はいた
褒めてくれる人も怒ってくれる人も
ほんと少ないけどちゃんといた
ありがとう、嬉しかった
泣いちゃうくらいに
だから大事にしようって決めた
友情とは違う形かもしれないけど
数が少ないなら
僕にもなんとかやれそうな気がした
この夏だけの命と決めて
今年もひとつ花咲いて
万人の目が夜空に向いても
人知れず花びら広げた
夏の象徴であり続ける為にと
それが決められた宿命なのか
はたまた曲げられない意地なのか
…あの人みたいだと思った
周りが思う自分であり続ける為に
あの人は心に蓋をするのが上手だった
頑固で真っ直ぐでいつも上を向いてた
眩しくて倒れそうな僕に
日陰を作ってくれたのはあの人だった
到底敵うはずないよ
あの人が散ってしまった今でも
せっかくの日陰を逃げ道にして
落ちた花びらを数えてるだけの僕には
夏は期限付きのものだらけだ
あの人の時も夏の終わりだった
そしていつまでも心から消えないのも
その夏のせいなのか、それとも…
今一番欲しいものを手に入れたとして
その後は?
どうせ次から次へと欲張って
気づけば失ったものの方が増えている
大人になってしまえば
あれもこれもなんてダダをこねてられないから
我慢を覚える 諦めるのにも慣れる
今一番欲しいものは
一番手の届かない所にわざと置いてくるんだ
だってそっちの方が楽だもの、心が
遠くから眺めてるくらいでいい
視線の先には
いつもの時間いつものように始まる
テレビのニュース
政治だ金だ、事故だ殺人だ、
流行もあのウィルスも
僕にとっちゃどれも楽しくないものばかりで
頭の中じゃいつも違う事考えて
いつものようにテレビを消す
視線の先には
消えた真っ黒な画面にぼやけて映る
冴えない僕自身
僕はこんなだっただろうか
最近ちゃんと笑えてない気がする
それこそ今流行りのアレのせいで
とか言ってみる
自虐的にもなるさ
なにかのせいにもしたくなるさ
繋がりはほどけてしまった
大事に大事にしてきたのに
またイチからやり直すのが怖いんだ
画面の奥の僕は
いつか笑いかけてくれるんだろうか
分かってる
この世界は努力した者にしか
笑いかけてはくれない
頑張れるだろうか、やり直せるだろうか
新しい場所で
愛想笑いからもう一度