選んでこなかった岐路の現在を
見てみたいと思う
あなたにひとめ会いたいから
あなたがいる世界の空気を吸ってみたい
それでも、もしあのときに戻れたとしても
わたしはいまと同じ答えを出して
あなたが傍にいない世界を選ぶんだろう
今のわたし自身が嫌いじゃないから
あなたに愛されるわたしと取って代わりたいわけじゃない
ただ、もし、あのときに戻れるのなら
さいごのあなたの顔、
今度はちゃんと目に焼き付けたい
◇もうひとつの物語◇
あなたが眠ってしまって
寝息が聞こえる頃
スキンケアをしてから
遅れてベッドにもぐりこむ
どんなに熟睡していても
わたしがあなたに寄り添うと
腕をまわして抱きしめてくれる
手探りで、真っ暗な中
わたしを抱きしめてくれる
◇暗がりの中で◇
自宅で紅茶を飲む習慣がまずない。
職場に持っていく水筒にティーパックを放り込んで帰宅するまで取り出さないタイプのやつなら冬場によくやって飲んでいたけど。
何度のお湯で、何分蒸らして、蒸らしてる間にお洒落なクッキーをお洒落なお皿に用意して、可愛いティーカップに可愛いティーポットで注いで、食べる‥なんて‥ない。
残念ながら優雅な淑女じゃないのよね。
でも女子会でカフェに入ったら、うんと甘そうなケーキと紅茶を頼む。
そしてあーでもないこーでもないと日々のくだらない出来事や、取るに足らないことで感情的になったことなどをティースプーンでくるくるしながら話すの。背筋も伸ばしてね。
そうすればちょっとはお淑やかに、見えるでしょ?
◇紅茶のかおり◇
人生で愛のある言葉をかけてくれる人は
たぶん数えるくらいしかいないだろう
そのなかでもダントツでぶっちぎり1位で
愛の言葉をかけてくれた人は
わたしに名前を付けてくれた人
産まれてから、いや
産まれる前から話しかけてくれ
命がけで産んでくれた人
目と目が合う距離になっても
わたしの名前を呼んで
進むべき方向に導いてくれた人
彼女がわたしを呼ぶときの
七色に変化する声色
どれもこれも懐かしい
彼女がわたしに話しかけるとき
それは全て「愛言葉」だった
◇あいことば◇
会えなくても、会っても
全然空気だいじょぶ
でも今度会うときはどうだろうね
会わなくなった子もいるし
ご新規さんも増えないから
終活してる気分
でも後悔はない
残るものだけ、大切にする
◇ともだち◇