声が枯れるまで
声が枯れるまで叫び続ければ、君は私の苦しみをわかってくれるのかな?自分らしく生きてるだけなのに、いつもいつも「気持ち悪い」って言われて、悔しいって思ってんのに何も言えない自分が嫌いで嫌いでしかたなくて、親にも担任にもSOSは出した。でも、誰も気づいてくれなくて日々苦しい気持ちがつのっていくばかり。信じたいものを信じられなくて。自分さえも信じられなくなった私を君は優しく抱きしめてくれるかな?「大丈夫だよ」って言って手を引いてよ。「ねぇ目覚ましてよ。なんで私をおいて行っちゃったの?君がいなくなったら私はどうすればいいの?」そう言って私は冷たくなった君の手を握った。もう一度だけ目を覚ましてと上に祈りながら。
巡り会えたら
巡り会えたら助けてほしかった。罵倒されて苦しくて死にたくてでも勇気がなくて死ねなくて。そんな日々が続いて僕はあの時出会った君のことを思い出した。あのときの君はきれいだったな。まるで空を映したかのようなきれいな目をしていた。でも俺は君と最悪な別れ方をしてしまった。もしも、また君と巡り会えたらあのときのこと君は笑って許してくれるかな。そんな叶わない事を考えながら俺は今日も仏壇の前で手を合わせる。「天国で俺のこと待っててね」そう言って俺は外へと駆け出していった。もし、君が今生きていたらどんなに良かったんだろうと思いながら。
窓から見える外
窓から見える外は明るくてパラパラと小さな粒が降っていた。その粒の正体は小雨の雨だ。私はさみしげに窓から見える外の景色をじっと見つめる。見つめながらぼーっとしていると階段を登る足音が聞こえた。私は即座に布団をかぶる。「あんた何やってるの風引いてるんだから窓開けないで」そう言いながらお母さんは窓を閉めて出ていった。私はお母さんの言葉を無視して窓を少し開けた。数分後タッタッタッという足音が外から聞こえた。私は布団から飛び起き外にある歩道を見た。すると一人の少年が私に向かって手をふった。私もそれに応じて手をふった。するとその少年は「早く元気になってね」と言ってまた駆け出した。あの少年は1週間前から来る子。あの少年だけが私に元気をくれる最高の癒やしだった。でもこのとき私は知らなかった。あの少年の正体を。
香水
今日新大久保に行った。駅に着いたとき思わず「香水臭」と言ってしまった。周りの目がすごく怖かった。駅を出てお腹が空いていたのでお店を探しているとシトラスのような匂いがしている人とすれ違った。「ちょっと待って」そう言って俺はその人の手を掴んだ。だがその人は俺が探している人とは違かった。「すみません人違いです」そう言って俺は歩き始めた。俺が探しているのは一緒の施設で育った血のつながっていない姉貴だ。姉貴は毎回出かけるときに必ずシトラスのような匂いがする香水をつけていた。でも3年前殺人事件に巻き込まれて死んだ。だが、俺はそんなことを信じなかった。だから今でもこうして姉貴を探している。あのとき決めたんだ。どんなに汚い手を使っても姉貴を見つけると。
さよならを言う前に
俺が君に別れを告げようとした時君は言った。「本当にそれが仁くんの意思なの?」後ろから掴んだ君の手を振り払うと「仁くんなんて嫌い」俺はその言葉にびっくりして後ろを振り返った。君の方を見ると君は、体を震わせながら泣いていた。俺は余命宣告を受けていた。君に悲しませたくないから俺は自分から振ることにした。「俺だって辛い」そう言うと君は顔を上げて言った。「なんで仁くんが泣いてるんだよ」俺はそんな君を抱きしめながら「ごめんでも君のためなんだ。さようなら」そう言って俺は泣き崩れる君を無視して前に進んでいった。前に進むときに俺は呟いた。「君まで道連れにしたくなかったんだよ」と。