手を取り合って
手を取り合って生きていきたかった。ただもうそれは叶わない。君が死ぬ前に僕と約束したよね。来世では手を取り合って生きていくと。その言葉だけが君を失った僕の支えだった。今だってその言葉を胸に刻んでいる。でも時々君が恋しくてたまらない時がある。もう早々に君のところに行こうか?そう思って毎回屋上に立つが君の「だめだよ」という声が聞こえて涙が流れる。早く来世にならないだろうか。そしたら君と手を取り合い幸せに生きられるのに。
これまでずっと
これまでずっと頑張って来た。いつもお母さんの愚痴を聞いて学校では好きな人から無視されてこれまでずっと悲しい気持ちも苦しい気持ちも全部心の底にしまって頑張って来た。でもある日の夜お母さんに突然「邪魔だから出ていけ」と言われた。その時心の底に封じていた気持ちの縄がプツリと切れた。僕は言われた通りに家から出ていき、夜の学校に忍び込んだ。そして屋上の鍵を自力で開け塀の上にたった。そこから飛ぶとなぜか自然に涙が頬を伝っていた。僕は誰かに話を聞いてもらいたかっただけなのにどうしてこうなってしまったのだろう。なんで死にたいという気持ちにたどり着いてしまったのだろうか。そんな事を考えているうちに僕の頭はアスファルトに叩きつけられていた。
目が覚めると
目が覚めると俺は閻魔の前に立っていた。閻魔は言った。「今からわしの質問に正直見答えろ。全て答えられたら現実世界に戻してやろう」その言葉は非常に重く感じた。でも俺は好きな人との結婚式の約束をしている。だからこんなところでくたばるわけにはいかない。そう思っていた。俺は頑張って閻魔の質問を全てクリアした。でも閻魔は嘘つきだった。「お前に褒美をやろう」俺は現実世界に戻れると思い喜んでいたが、閻魔は「舌抜きの褒美をな。」そう言われて俺は早くも舌を抜かれ喋れなくなった。あの日から何年の月日が経っただろうか。俺は今でも閻魔の褒美を受け続けている。拷問という褒美を。
私の当たり前
私の当たり前はあなたが感じる当たり前とは違う。私は自分の当たり前をあなたに押し付けてしまった。その時私たちは付き合いたてで、別れないか心配で私はあなたの気持ちより自分の気持ちを優先していた。本当にごめん。今は離れてしまったけど、また一緒になれると信じてる。また来世で会おうね。本当にごめん。
街の明かり
街の明かりが彼の顔を照らした。5時前に街灯の前に来るようにいわれた。私と幼馴染の奏真はラインでそう送ってきた。私が指定の場所に行くとさきに奏真がいた。あたりは暗くて人の顔も見えない。でも私が奏真だと気づいたのはスマホの明かりだった。私が後ろから驚かすと同時に街灯がついた。私は驚いた。奏真の顔がなんだか苦しそうだったからだ。奏真と近くにあった店に入り喋り始めた。奏真はもうすぐで親の都合で海外に行ってしまうらしい。だから苦しそうな顔をしていたのか私は一人で納得していた。でも私の目からは自然と涙が溢れてきた。私はそれを隠すようにして店を出た。そしてついに奏真が海外に行く日がやってきた。母親に「行かなくていいの」と言われて私は考えるより先に足が動いていた。空港につくとすぐに奏真を見つけた。暗い顔をしてうつむいていた。私は後ろから「奏真」と言った。奏真がこちらを向いた瞬間私は続けた。「ずっと好きだったよ」そう言うと奏真はお父さんたちと少し話し合って私の方に歩いて来た。そして私を抱きしめて「俺やっぱり海外行かない」と言った。そして奏真は最後に「ずっとずっと一緒だよ」と言った。