私は、自分で言うのもなんだが努力家だ。
小さい頃から漫画家を目指して頑張っている。
睡眠時間を削って絵を描き、物語の流れを考え⋯。
小さな努力を積み重ねてきた。
買い物も宅配で済ませ、風邪をひいても休まず、頑張ってきたはずだったのに。
結局努力は報われなかった。
私が手に入れたのは、小さな「飛べない翼」だけだった。
はあ、今日は雨か
折角娘の運動会があるのに、こんな天気では中止だろう。
雨が降らないようにてるてる坊主を作っていたのに、結局駄目だったようだ。
可哀想だけれど、きっと日曜日に振り替えられるだろうし大丈夫だろう。
そんなことよりも⋯もう娘はお腹を空かせているだろうから朝食を作らなくてはいけないし、洗濯物も干さなくてはいけない。
朝から大変だな、運動会見たかったな、なんて思いながら重い体を起こす。
窓の外には、揺れている「ススキ」が見えた。
「ねー、この服ほしい!」
1万円もする服を指さして笑う君に、僕は言う
「ちょっと高いかな、ごめんね」
そう答えた瞬間。
君の顔が曇り、
「ケチ」
とだけ言って店内へと走っていった。
朝日の眩しさに目が覚めた。
またあの夢か、もう忘れかけていたのに。
あの時の君の声、表情、店内の空気⋯
その全てが未だに「脳裏」に焼き付いている。
どんなにあなたを憎んでも、あなたは私の感情に気が付かない。
あなたが私を好いているとしても、私に害はない。
それに気がついたときには遅かった。
あなたへの嫌悪感がどんどんと増大していって、私の心を蝕んでゆく。
黒く染まったこの心はもう元に戻らない。
眠って、食べて、話して・・・
そうやって日々を過ごして誤魔化しても、心の奥には跡が残ってしまう。
「意味がないこと」。
それは、あなたを嫌うことだった。
いつも教室の真ん中で雑談をしているあなたと、いつも教室の隅で本を読んでいるわたし。
頭が良くて勉強が得意なあなたと、体が弱くて運動が苦手なわたし。
友達がたくさんいるあなたと、友達が全然いないわたし。
別れてからすぐに新たな恋を始めることができたあなたと、別れてもずっとあなたが好きなわたし。
まるで対比のような「あなたとわたし」は、永遠に交わることがないのだろう。