サマヨイ

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9/28/2024, 12:52:05 PM

「告白」

『月が綺麗ですね。』
満点の星空と満月の下で、私は貴方に告げた。
それは、ただの一人言では無く私の愛する人へと向けた、一種の告白の言葉。

含みのあるものにしようか、然りと想いを伝えようか、どんな時でも常に考え続け、含みもありつつ然りと想いが伝えられる『月が綺麗ですね。』に決めた。

想いが通じるかどうかは分からない。
通じ合うことが出来れば、それに超したことは無い。
合わなかったとしても、想いを伝えられればそれでいいと。
その時の私は思っていた。

想い人は私に背を向けて歩き出し、少し離れたところで立ち止まった。
そして、想い人は私に告げた。
『私は太陽の方が好きです。』
と。



テーマ:別れ際に
※創作

9/28/2024, 6:57:55 AM

「エピソード記憶障害」

そんな病名が僕に付けられた。
体験した出来事である「エピソード」を、きちんと思い出せない事らしい。
たかがそんな事で病名が付けられるとは思わなかった。

でも、たしかに僕は今まで生きてきた中で覚えていないことが多い。
小中学生の時の記憶はほとんど覚えていないし、高校生の時の記憶も既に曖昧になってきている。
思い出そうとしても、まるで思い出すことを拒否するかのように、通り雨のようなノイズがかかって思い出せない。
もっと歳を取っていったら、これみたいにノイズがかかって思い出せなくなることが多くなっていっちゃうのだろうか。

そんなことを考えていた束の間。

『あれ、何してたっけ。』

今まで何をしていたか記憶にない。
僕は今、何を───?



テーマ:通り雨
※創作