人間の心境なんか物知らずに空はいつも自由だ。
同じ晴天の下でもある人は泣いて、ある人は笑って、ある人は怒って。
曇や雨で空が暗ければつられて気分が沈むこともあるけれど、その一方で曇や雨が好きでしっとりと堪能している人もいる。
だからこの晴天も多くの人には明るく気持ちが良いものかもしれないけど、失恋したてのカレには今この突き刺さるような明るさが鬱陶しくて、「こんな時くらいは一緒に沈んでくれてもいいんじゃないか」と、泣きたくなるような青空を仰いだ。
言葉にしなくても想いは伝わる――そう貴方は私に言いました。
確かに日々の生活は言い争いもなく、穏やかで、けれども雑談も少なく、粛々としたもので、それはある意味幸せなのかもしれません。
だとしても、私は、「言葉にしなくても想いは伝わる」と言える口があるのならば、愛する貴方にもっと素直に分かりやすい言葉で言ってもらいたい、そう望むのはわがままですか?
『Love you』
『太陽のような笑顔』って言うけど、最後に見たのはいつだろう。
見たことがないわけではないはずだ。でも思い出せない。
もしかしたら今もずっと日常のどこかに存在しているのかもしれないけど、私の心が曇っているから見つけられないのかもしれないね。
『データを削除しますか?』その文言を眺めながらどのくらい経ったか。一分? いや数秒? 決して長くはない。
消したら後悔するだろうかと思いつつ、今の今が嫌で変えたくて、変わりたくて、また始めから全てやり直したくて、でもきっと同じことの繰り返し。
もう少し踏ん張って一歩進めば変わるかなと思いつつ、まっさらから始めたくて『はい』を押す。
――『同情』なんて、
哀しくて、虚しくて、惨めで、余計に辛くなるからいらないって強がりました。
そうして強がっているうちに人からの『優しさ』を見失って、『独り』になりました。
今では『同情』はありません。
『優しさ』もありません。
ちゃんと『一人』で強く生きなければなりません。