タイムマシーン
タイムマシーンはほしくない。
便利かもしれないけど、過去のアラや非効率だった頃の試行錯誤さえ浮き彫りになることを考えると、羞恥心がどうしても優勝してしまう。
タイムマシーンはほしくない。
うっかりしてしまった失言が取り消せるならと思わないでもない。
それでも失敗しなければ私は成長しない。
取り消せるからと何回でも失言をする私にはなりたくない。
タイムマシーンはほしくない。
時間は一方向にしか進まないって知っている。
世の中の物理法則を歪めてでも確認したい未来や過去の出来事はないし、それによって歪む時間の責任は私には取れない。
タイムマシーンは、いらない。
特別な夜
ここ1ヶ月の特別な夜は、もうじき終わりを告げる。とてもリラックスしていたのに、もうすぐ父が帰ってきてしまう。
入院治療で少しは懲りてくれたらと思ったのに、まったく副作用がないらしく毎日暇なのだそうだ。
また暴力暴言三昧の日々が始まるのだろうか?
特別な夜は永遠に続いて欲しかった。
海の底
私が昔、何かのプロジェクトに参加して増やしてもらった珊瑚がある。
海の底で、今どうしているのかもわからないけれど間違いなくあるらしい。
珊瑚を育てることは、なんとなくそのときの私がしたいことだった。
ゴミのせいで汚れたり減ったりする珊瑚礁を増やせるというのは、いいことのような気がした。
自然の保護に協力した証として、海の底にひとつ珊瑚が増えた。
見えなくても、その事実があれば私は大丈夫。
君に会いたくて
会いたくて駆け出した道はもうない。
会いたくて息を切らせた歩道橋はもうない。
会いたい君がもういない。
私にはなにもなくて、どうにもならなくて。
君に会いたかった頃に帰りたい。
閉ざされた日記
日記を閉ざすとき、臭いものには蓋精神で自分に背を向けてしまう。
自分に向かい合うための日記が、つらいものの集大成になってしまう。
私には日記はまだ早いのかもしれない。
日記で成長できる人になりたい。