花の香りと共に

東の風が吹く
花の香りと共に
冬は別れを告げた

スキー場のゲレンデの上に立つと、
かなり高所にいるのが分かってしまう。

だけど小さな勇気を出して、
私は真っ白なゲレンデを滑り降りた。

スキー板は雪上を高速で駆けていく。
高所への恐怖は徐々に消え、
喜怒哀楽の「楽」で心臓が高鳴っていた。
ランニングや自転車では味わえない疾走感が
興奮を与えたのだ。

平面に滑り降りた後、
私はすぐにリフト乗り場へ向かった。

あの楽しみを味わうために。

埼玉県にある芝桜の写真を観た時、生まれも育ちも埼玉の私は「わぁ！」と言いたくなった。

SNSに投稿された写真には、あたり一面に花々が咲き誇る桃色の絶景があった。
こんな素晴らしい場所が埼玉にあったことに私は心を打たれた。

「北海道や沖縄とかはいいなあ。埼玉と違って色々と観光地があって」
子供の頃、こう思うことがよくあった。

これといった観光地が思いつかない地元に私は劣等感を持っていた。毎年帰省する父の地元には、兼六園や21世紀美術館のような有名な観光地が数多くあることにも劣等感に拍車をかけた。

けれども、その芝桜の写真がきっかけで数多くの埼玉県の観光地を知り、「地元に観光地がないコンプレックス 」が私の心から消え去った。

芝桜の写真を投稿した人、ありがとう。

あの出来事の影響で、フジテレビからコマーシャルがほとんどなくなった。
終わらない物語だと思っていたサザエさんはこれをきっかけに最終回を迎えてしまうのだろうか。
「終わらない」があるのは数学の世界だけなのかなと私は思った。