兄は寡黙だった
兄は味方だった
兄は綺麗だった
だから
兄は連れ去られた
兄はいなくなった
兄は異星人になった
兄は私の知らないところで
兄は私の知らないひとに
子供のように歯を見せて笑い、泣いている
私はひとり招待状を握り潰し、怯えている

掃除をして部活をして
職員室に呼び出されて
公文やピアノへ行って
今や刑法解説マシンの准教授にも
そういう放課後があったんですね

なんて想像するのも愛

心電図がフラットになり響くそれはカーテンコール　ずっと止まない

#tanka

許さない　涙の理由を推しはかり僕をわかった気になるなんて

#tanka

ついに堰を切って溢れ出した熱が
二度と戻らなくなった日に聴く曲
音の向こうで瞬く瞳
その奥に映るは能天気な希望
それはやさしさ
ショパンの諦め
私の諦め
諦められることは希望
美しい諦めだってあるから
沈む心を置いて足はステップを刻む
ココロオドル・ノクトゥルヌNo.12