学生時代から片思いしていた友達。
隙を見せれば溢れそうな気持ちを抑えて、今まで接してきた。
でもなんだか、だんだんこの恋に希望が見えなくなってきて、
終わりにしようと思った。
たまには宅飲みでもしようと誘って、家に呼び出す。
ビールやらワインやらを机に並べて、至って普通の宅飲みを演出する。
そして、酔いが回りはじめたところで、男を押し倒した。
散々に嫌われて、この気持ちを終わらせようと思ってやったことだったのだが、
男が存外よさそうな顔をするもんだから、
気づいたら、
【終わりにしよう】
アイツを追い越したい。
抜け目のないあの男を負かしてみたい。
あの頃は、強い劣等感がありました。
そんな感じで勝負をしかけて、
一緒に過ごしてみると、
意外な一面を見つけたりして、
あー周りはこういうの知らないんだろうなって、
優越感に浸っていました。
そうこうするうちに、
その男を好きになっていまして、
勢いのまま告白したら、
男は顔を真っ赤にして、大層愛らしい反応をしまして、
その日、
二人の間に、
大きな愛が生まれたのです。
【優越感、劣等感】
これまでずっと、苦しかったもんな。
お前はこれで楽になれたんだよな、多分。
俺も精一杯抗ってみるよ、お前のとこに逝くまで。
一旦、お別れだな。
今までありがとう。またな。
葬式の日。すっかり白くなったその顔に、別れの言葉を告げる。
「だいすき」の四文字は、心の底に封じ込めて。
口に出すと、余計に寂しくなるから。
【これまでずっと】
唐突に送られてきたメッセージ。
『だんだんお前のことが
いまわしくなってきた
すっかり変わってしまったお前に
きみ悪さを感じるよ』
面白いヤツだなと思いつつ、『俺も愛してるよ』と返しておいた。
【1件のLINE】
ふと目が覚める。
隣を見ると、「人生の相棒」が世界一綺麗な寝顔を晒していた。
久しぶりに見たな、と思いながら、お互いの額をくっつけ、また目をつぶった。
目が覚めた。
目の前には、「人生の相棒」
の骨が入った壷が、冷ややかな顔をしてこちらを見ていた。
そっと「おはよう」と声をかける。相変わらず返事はない。
この現実にもいい加減慣れたと思っていたのに。少しでも寂しさが紛れるように、こうして骨壺と一緒に寝ているのに、
堪らなく寂しくなって、
夢の続きを見るために、また目をつぶった。
【目が覚めると】
そろそろ明るい話が書きたいな