「束の間の休息」

溜まりきった明日に
さらわれてしまう前に
今日のすべては洗いざらい
排水口に押し流す

「過ぎた日を思う」

写真や動画ほど
繊細に残ってはいないけど
360度からの音や色
湿度や温度、痛み、感情
私に飛び込んできたものたち
すべての少しずつ
今の私を作っては壊している

「声が聞こえる」

名残り香る雨
髪をもて遊ぶ風
雲間から陽が覗く頃
少し切ない匂いがした
そろそろ秋の声がする

「夜明け前」

今宵も終演
閉ざした幕の裏の裏
あれやこれやの声々が
真っ暗闇で正体不明の
明日の主役を探してる
閉ざした幕の隙間から
漏れゆく光に怯えるように

「喪失感」

ぽっかり空いた
底なしの穴
恋しくて覗くと
うっかり落ちそうになる