私の親は世間で言う《毒親》なのだろう。
・成績は常に学年で三位以上を維持すること。
・友達と遊ぶ時は必ず、何処で、誰と、何時間遊ぶのか教えること。明確に、間違っていれば即座に訂正。
・母の言う事には逆らわない、口答えをしないこと。
これが私の日常のルール
基本的に、私の生活は縛られている。
逆らわないと、私は一生縛られ続ける。
でも、できないんだ。
昔、一度だけ逆らったことがある。
あの時母は、
『貴方まで私を否定するの?』
『貴方をここまで完璧に育てたのに。』
『私は貴方の為にしているだけなのよ?』
『なんで、なんで、なんでなのよ、?』
母は狂っていたのだろう。
父に捨てられ、私を一人で育ててくれた。
そんな私が、母を否定したら母は壊れる。
私は母に逆らえない。
あの時見た、狂気的な瞳と必死な母の姿が
私の脳裏に焼き付いて離れないから。
お題〚脳裏〛
周りは言う。
『今は大事な時期だから』
『今後、後悔するかもしれないから』
『人生で初めての大きな選択だから』
分かってる、分かってるよ。
そんなの自分が一番分かってるんだよ。
周りはまた言う。
『貴方は元が賢いから頑張れば大丈夫』
『貴方の実力ならこの高校でもいけるよ』
『貴方は賢いから、後悔しない選択をね』
元は賢くなんか無い、それだけ努力してんだよ。
後悔しない選択?賢い所に行かせたいだけだろ。
其れは私の選択じゃ無くて、アンタの選択なんだよ。
"期待"なんてしないで。
期待したら失望させた時に私が一番苦しいんだよ。
その期待も!!私が一番苦しめられてるものなんだよ!!!
勝手に期待されて、どれだけ私が苦しいか。
失望されたら!!私はもっと苦しい!!!
頑張るほどに、周りはもっと私に期待する。
『じゃあ次はここをもっと頑張ろう!』
『貴方ならもっと上にいけるよ』
知らないよ!!
私は上に行きたいんじゃない!!
アンタらの期待から逃げたいんだよ!!!
....もう、ほっといてよ。
私、疲れたんだよ。
私が欲しいのは期待なんかじゃ無いんだよ。
それは唯、私にとっては鎖で、重りなんだよ。
私はそれが、重くて、辛くて、苦しくて、
しんどいんだよ。
だから、やめてよ。
私が押し潰されるから。
なんて、そんな事言ったって、
また "期待" するんでしょ?
お題〚涙の理由〛
"私と共に踊りませんか?"
今日の依頼はとある組織からの依頼だ。
どうやら潰して欲しい組織があるらしい。
そこそこ大きな組織を潰すなんて、久方ぶりだ。
ボスの所まで侵入?正面から潰す?
色んな考えが頭によぎっていく。
嗚呼、楽しみだ。
実に簡単に忍び込めた。
警備が心配になるよ、警戒心が足りてないね。
さて、この扉を開けばターゲットが居るはず。
ガチャリ
「ノックも無しに何の用だね?」
『失礼、忘れていたよ。』
「...うちの者じゃ無いな、誰だ。警備員はどうした」
『殺しはしてないよ。というか、会ってすら居ないしね(笑)』
「侵入者か。」『That's right!! 』
彼はまだ、自分が殺されないと信じている。
地位も金も持っているから、交渉すればいける、と。
馬鹿だなぁ、私はそんな優しくないのに。
私は彼の手をとって、こう言った。
『...今宵、私と共に踊りませんか?』
その夜、一つの組織が一晩にして、潰れた。
お題〚踊りませんか?〛
恋は当たって砕けろ!
友達はそう言った。
砕けた時には笑ってあげるし、慰めてあげる。
友達はそうとも言った。
同情?慰め?笑い飛ばす?
なんで砕ける前提なんだよ、巫山戯んな。
私は本気だから。
砕けてやるつもりなんてない。
もし砕けても、何度だってやり直してやる。
何度でも当たってやる。
だからアンタは良い報告だけを待ってろ。
私が恋に砕けることなんて無い。
お題〚本気の恋〛
貝が死んだ。
2つの貝殻ができた。
2つの貝殻は別れた。
離れ離れになった。
会うことなんて無い、できない。
だって海にはこんなにも貝殻があるから。
同じ種類の貝殻が沢山あるから。
そうして片方の貝殻は傷が増えていった。
汚れて、欠けて、最後に潰れた。
彼は死ぬ前に私に言った。
『こっちに来るのは遅い方がいい。』と。
『向こうで会えたら、いいね。』とも言った。
会えるわけないのに。
貝殻みたいに死んだら、別れて、離れ離れになる。
会える可能性なんて無い。
確証だってないのに。
それでも私は、君を探すだろう。
だって今、君のいない世界の価値が、意味が、
分からない自分が居るのだから。
お題 〚貝殻〛