忘れられない、いつまでも。
心臓は温かい
「私はここにいる」と
主張しているかのように
音を立てて生命を繋ぎゆく
私はあなたの心臓に
触れたかったのかもしれない
あなたは知らない
あなたが私の心臓に触れてしまったことを
優しく触れた手を私は
愛してしまったのかもしれない
もう触れることのないその手を
愛おしく抱きしめて
そのまま眠ってしまいたい
記憶の中のあなたと2人
私は忘れられない、いつまでも。
私はあの雲が憎たらしい
私は大空をながれる
あの綺麗な雲にはなれない
人として地を踏み
その足で人として
生きるしかなかった
生きたくなくても生きた
死にたくても生きた
誰もいなくても1人
空っぽなまま生きた
私にこの空を飛ぶことは出来ない
触れることすらままならない
あの空に自由に触れられる雲
あなたは私に出来ないことを
容易く叶えてしまうのね
私にはなんにもない
あなたが羨ましい
今日も胸の奥が痛い
日を重ねるごとに
記憶の中のあなたは透明になりゆく
不幸のどん底にいる
私の心の横にちょこんと座り込んで
あなたは立ち上がらない
そ ん な 不 確 か な 記 憶
"ありがとう"すら
伝えられないまま
あなたは日々透明になってゆく
ごめんね
ありがとう
この言葉だけは不透明でいて
優しくしないで
その目も鼻も口も
私だけのものじゃない癖に
"私だけのもの"みたいに振る舞わないで。
私をこの世界から救ってくれる訳じゃないのに
あなたはそう、私を見つけて花みたいに笑う。
私を探して駆け足になる癖に。
あなたは温かな家庭を持っているじゃない。
大事なものを愛でるような声で
私じゃないあなたの愛する人の話をしないでよ。
私を見つけないで、私に気付かないで
私の心の傷に触れないで
知らないフリをしてよ。
ねぇ、先生…
もう
#楽園
私はあなたがそこにいると
信じていたいのです
あなたの温もりが
何処かで生きているなら
私はあなたの元へ逝きたいのです
最後の体温が
嘘であると確かめたいのです