ゆいろーず

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10/30/2023, 10:20:08 AM

〚懐かしく思うこと〛


昔、家出をした。
でも自分に度胸がなかったために、すぐに帰った。
自分の子なのだから同じだろうと、浅はかな考えで家出をした我が子を待つ。
だが、帰ってこない。
当然のことだった。
その子は本気だったのだから。
必死に必死に探した。
夜なのにも関わらず、それはもう大声で名前を呼んで。
すると思いのほかすぐに見つかった。
泣いて顔がぐちゃぐちゃになった自分の子が。
それを見てはっとした。
自分も家出をしたとき、こうだったのではないかと。
なぜ忘れていたのだろうと。
我が子を抱きしめながら、今更懐かしく思った。

10/29/2023, 11:20:16 AM

〚もう一つの物語〛


もう一つの物語。
世の中には、もう一つの物語がたくさんある。
人を含め、物の数だけある。
でも私は一つしか知らない。
そう、自分のだけ。
だから考える。
自分以外の、もう一つの物語を。
だからってそれは本物とは限らない。
いや、
それすらもまた別の、新しい物語。
終わりのない話である。
それが、それこそが、もう一つの物語

10/29/2023, 9:54:58 AM

〚暗がりの中で〛


こわい、こわい…こわい……こわい
ここはどこ?今は何時?あなたはどうして私を追いかけてくるの?

三つ目の何かが追いかけてくる。

こわいよ…だれか助けて……
こんな暗がりの中に、いつまでも居たくない。

そんな時、足が枝に引っかかった。
後ろを振り向くと、満月の下、怪物がにんまりと笑っている。

やめて、近づかないで、やめて、やめてっ

怪物が手を伸ばして近づいてくる。

あっ、もうダメだ、終わっ…た……

そう思った瞬間、宇宙に浮かぶ月が真っ赤に染まって―――



っっっ!!!
…………ここは…私の、へや?

絶対絶命のその瞬間に、自分の部屋に飛ばされた。

ほっ… 
夢だったのね……