曇天の、ねっとりと重い空気と鈍色の視界、ひたすら陰鬱な世界に一本だけ植わった桜みたいな女。
火をつければ少しは、明るくなるだろうか。

お題:雲り

お情けじゃなくて、心が欲しい。
奴は情けも心に違いないと言う。
心無い言葉だと返したら笑いやがった。

お題:叶わぬ夢

手がちょっと触れて、そっぽ向いちゃった。
なかったことになんてできなかった。

お題:何でもないフリ

「夢にお前が出てきたから、叩いてみたら泣き出してさ。可愛かったなぁ」
「ずるいわ、夢のあたしばっかり」
「本当、夢じゃ可愛かったのになぁ」

お題:夢と現実

道を歩いていた。隣にはお前がいた。すぐそばは崖になっていて、落ちれば多分、助からない。
お前を突き飛ばして、お前の嘯く愛から解放されたかったのに、体が動かなかった。

お題:光と闇の狭間で