あなたは私の名前を呼ばない
他に同じ名前の人がいたって呼んでほしい
呼んでほしいと思うけどたまにはねて飛んでくるそのあだ名をとても心待ちにしている
♯これは恋でしょうか。

視線の先にはいつもあなたがいる。見覚えのあるその歩き方が視界に入るだけで、ぐっと目がひき寄せられる。だからなのか。久しぶりに会っても私はあなたをよく知っている。
♯これは恋でしょうか。

手を取り合って歩めたらどれほどよかっただろうか。もし街中で君とすれ違ったとしたら、私はそんなふうに思うのだろうか。卒業式のあの日、一言だけでも君に話しかけていたら街で会ったときに挨拶をかわせる関係になれただろうか。全部きっとない。私たちの関係がどこまででもどこからだったとしても、今でも忘れられないくらいの高鳴りが私に声を求めるはずだ。

これまでずっと言えなかったことがある。そしてそれはこれからも秘密にするべきことである。墓場まで持っていかなければならないことである。私はずっと秘密があるということは素直にいられないということだと思い、後ろめたさを感じてきた。けど最近になってみんな割と秘密を抱えそれを隠して笑っているということに気づいた。私も笑えばいいのだ。言うなれば私の過去には誰も興味がない。無理に背負う必要はなくて知られても平気だと見えるように笑うことで素直に見えるのだと知った。