花束
今日も貴方のために
大きな花束を抱えて街を歩く。
毎日、毎日欠かさずに花束を抱えて。
君は、いつも寝ている。
可愛い寝顔で、
変わらない綺麗な顔で。
君はまるで、百合のようだ。
綺麗で可憐、美しいその姿。
まさに百合のような、そんな姿をしている。
俺は、君が起きないってこと知ってるんだ。
知ってて話しかけているんだよ。
仕事場で起こったことについて。
嫌いなひとの愚痴。
出来事。思い出。
毎日、毎日話してる
なのに、君は一切僕の話を聞いてくれないんだ。
わかってるよ。
俺のことどうも思ってないって。
_どうせ、女の子が好きなんだろうな。
俺はこいつ、君のことが好きだよ。
君のこいつの名前、、河間アキって言うんだ。
俺のたった一人の親友…
いや、好きな人。
俺のことを認めてくれた、大好きな人。
アキは、事故のせいで今は意識がない。
ここ一ヶ月、眠ったままだ。
ぼくは毎日病院に通って、
毎日お菓子や花束を届けている。
__ねぇ いつになったら返事してくれるの?
好きって、答えてくれるの?
ぼくがどれだけ伝えても、伝えても届かない。
『いい加減…起きろよ。俺、お前がいなくてさみしいよ』
静かな病院の部屋。
意識がないお前に話しかける。
『また…馬鹿みたいに、元気な声…聞かせてくれよ…っ』
俺は涙する。
『俺を…おいてかないで…っ、』
お前だけが救いだから
お前だけが俺を認めてくれたから
俺は…俺は…
今も…お前のお陰で生きてるんだ。
声にならなかった。
どうしても喉の奥に残っている。
喉の外に出ない。
伝えられない。
…でも、伝えたって…
『…俺は、お前のこと好きなんだよ…どうしようもなく、
ただ…お前のことが大好きなんだ…。』
『だから…っ』
『返事…してよ…アキ。
その瞬間、アキの目は開いた。
『アキ…!!』
俺は嬉しかった。どうしようもなく。
ただ、嬉しかったんだ。
[どうしたの、ユウ]
優しくて、大好きな声。
俺の名前をよぶ、綺麗な、大好きで大好きでたまらない声
『心配…したんだからな…』
『俺…っヒクッ、おいてかれたかと思って…グスッ…!』
[ごめん、ユウ。でもね、]
[大好きだよ]
__いま、なんて言った?
大好き…だよ?
[僕、ユウのこと大好き!]
『俺も!大好きっ!!』
そのときのアキの笑顔は
花束のように 綺麗だった。