空一面に広がる大花火に2人身を隠そう
どうかだれも見つけないで
そっと私たちを隠して
今日だけは、わたしを孤独に帰さないで。
【夏】
そうだ、あそこに行こう。
この真っ赤な夕日を目に焼き付けよう。
春風舞う桜の葉 照らされる田園 川のせせらぎ
見慣れた景色 変わらない街 故郷の人
わたしの知らないどこかへ
“ここじゃなきゃ叶えられない 夢があるんだ”
『それじゃあ、行ってくるね』
【ここではないどこかへ】
“天気予報は雨だね”
別れてから、1年ぶりに会う君に
掛けた一言は
『ごめん。傘、忘れちゃった笑』
なんて、バカなふりをした待ち合わせから始まった。
2人を一つの傘が優しく包み込む。
離れていた時間を忘れるかのように近付く距離。
こんなに愛しい人が近くにいるのに
簡単に触れられないもどかしさがわたしを襲う。
『ねえ、わたし雨も好きだよ』
【君と最後に会った日】
“いつのまにか 枯れてしまった”
少しずつ色を失い、萎れていく。
もう2度と美しく咲くことはできない。
でも、君はそれが綺麗だと言った。
『咲き誇る限られた時間に価値があるの。
その「生命」の描写に人は惹きつけられるのだ』と。
【繊細な花】
1年後
かつて想っていた人と結婚していると前に占いで言われた歳になる。
「また大人になったら、2人のことを一緒に考えよう」と別れてからもう1年。私は今年ハタチになる。
1年ぶりに君とデートをした。ああ、私が大切にしていたのはこの表せないほどの感情と、それを与えてくれる君の事なのだと思い出した。
時が経っても、お互い惹かれ合う。君と話すきっかけが欲しくなる。やっぱり君は特別な人なんだと実感する。
一年後、私は君ともう一度新しい未来を描こうと足並みを揃えているだろうか。
それとも、もうわたしはただの“過去の人”と君の中で括られてしまっているのだろうか。
それでも私は、君のこと人生において出逢うべくして出逢えた運命の人だと想っているよ。