あの日のトラクター
きっと忘れやしない
きっと忘れられやしない
好きな人のことを嬉しそうに話す君を
みんなの何倍も可愛らしい君を
冷たいけれど誰よりも甘い愛くるしい君を
頑張りすぎな君を
何処か儚くて小さな君を
気持ち悪い僕は
おかしい僕は
罪深い僕は
自己に酔いしれている僕は
ただそっと盗み見た
あの日のトラクター
オレンジ色に染まる君と
目を合わせればよかった
ちゃんと聞けるわけなかった
願い事はね、叶わなくたっていいと思うの。
だってほら、際限がなくなっちゃうじゃない?
もしも願いが叶うなら私はもっとお金が欲しいし、
美しい声が欲しいし、細くて長い脚が欲しいし、
綺麗な透き通る白肌が欲しいし、鼻が高くなりたいし、
貴方と一緒に死にたいし、貴方に近づく人を消したいよ。
でも、それはあなたの願いじゃないもんね。
あ、ねぇねぇ
相殺された願いはどこに行くんだろうね
空っぽなんだよねって言ってみた。
悲劇のヒロインみたいな台詞は好きじゃないから。
苦しいもしんどいも言えなかった。
普通の女の子じゃないと貴方に好きって言えないから。
でも見て欲しかった。
私がどんな女の子なのか。
空っぽなんだよねって言ってみた。
貴方に満たされたかった。
貴方で私を埋めて欲しかった。
私の住んでいるところには海がないの。
だから波の音なんて知らない。
私の住んでいるところには海がないの。
だから広い心なんて持ち合わせてない。
私の住んでいるところには海がないの。
だからあの夏の少女にはなれない。
私の住んでいるところには海がないの。
だから波が攫ってはくれない。
私の住んでいるところには海がないの。
だから貴方に連れて行って欲しい。
私の住んでいるところには海がないの。
でも泳げないから好都合。
私の住んでいるところには海がないの。
貴方の声は波の音。
私の住んでいるところには海がないの。
海がないのだけれど。
貴方となら溺れてもいいかなって思ってる。
元気かな。
インスタのストーリーでしか見なくなったけど。
元気かな。
いつしか年賀状は届かなくなったけど。
元気かな。
元気かな。
元気ってさ、
どこからどこまでが元気になるんだろうね。
5体満足で健康だったら?
心が満ち足りていたら?
明日が来る事を望んでいたら?
心なんか関係なくて、平熱を維持していたら?
わかんないね。
わかんないけどさ。
元気だといいなぁ