思うに、優しくする側もする側で
相手に対する優越感だったり罪悪感だったり
損得勘定だったりもするんだから
優しくさせといてやればいいんじゃない?
そんな単純なものじゃない?
ははは、自身に覚えのない話はどうにも浅くなってしまうね。
(優しくしないで)
化粧品売り場にある、マニキュアの色見本。
プラッチックの爪がたくさん付いてるアレ。
赤が主で茶やらオレンジ、ピンク。それにどす黒い赤。
10枚位が左右にあって、自分の指にあててみるやつ。
色んな色がたくさんあるが
赤だけが同じ色が五個も六個も有るように見える。
ピンクも二個は一緒かな。
きっと複数人で色を試すとき、人気の色が取り合いになるから
親切で同じ色をたくさんくっつけてるんだと思っていた。
母にそれを言うと大層驚かれた。
「この赤全部違う色だよ。」
…うそん。いや、同じですって、こっからここまでの赤。
それなら母の見てる世界は私よりずっとカラフルなんだろう。
同じ虹を見ても、赤部分が更に何本かに分かれてるんだろうか。
ふーん、いいなぁ。
(カラフル)
すいませーん!
さっき隣の理想郷を追放された者なんですけどー!
こちらの楽園に入れて欲しいんですう。
扉を開けてもらえませんかーー!
・・・
ちぇっ。
(楽園)
うちのベランダに着地していた八重桜の花びらが
再び風に乗ってどこかに行ってしまった。
春が終わる。
また来年、うちのベランダを賑やかしに着地するのを
楽しみに待ってるよ。
あ、その前に秋には八重桜の葉が舞い降りてくるか。
赤や黄色でベランダが彩られる。
いや、夏わざわざ人んちのベランダで事切れる
蝉の亡骸が先だな。
…やつらは風に乗って消えてはくれんが。
(風に乗って)
洋服売り場の前で
怒鳴り散らしてるおっさんの客に
平身低頭の販売員さん。
やだねー、とっとと通り過ぎるか。
しかしスゲーな、接客って。
笑顔を顔に張り付けたままエキサイトしたおっさんと
落ち着いて会話できるなんて、すごいスキルだ。
しかしおっさんが横を向いた途端
コンマ何秒、販売員さんの笑顔に羅刹が入り込んでいたのを
目撃してしまった。ひやっ!
うん…大変な仕事なんだな、接客。
(刹那)