胸の鼓動を感じる機会はあるか。
あるとするなら、どんな時に感じるのか。
生まれて一度も止まったことがないこの音を
耳を澄ませて聞く時はない。
だからこそ、聞こえたときは何か意味があるのではないかと思う。教えてくれているのだろうと思う。
緊張した時、恋をした時、焦った時、思いっきり走った時。
色々な時があると思うが、聞こえた時はそのメッセージに耳を傾けようと思う。
生きている証だから。
貝殻
君からのプレゼント
小さな手に握られた小さな貝殻
どんな宝石より、輝いている。
何のプレゼントだって?
今日は僕がパパになって3年目の夏。
そう。君の3才の誕生日だ。
プレゼントを渡さないといけないのは僕の方なのに、
ママと海岸に行って取って来たって、逆にプレゼントされた。
「パパになって、3才だから」
誰に教えられたわけでもない難しい日本語を何のためらいもなく使う娘。
僕はこの貝殻を一生大事にするから、今日のことを大人になっても覚えていて欲しいな。
些細なことでも
幸せを感じられる。
それが幸せ
心の灯火、つけるのは誰か。
若い頃のように、自分でつけるのは難しい。
勝手に点火し、メラメラ燃えていたあの頃。
今、心に新しい火を灯すのは相当難しい年代になった。残り火を頼りに生きているだけだ。かなり薄く、小さくなっているが、完全に消えたわけではないから、これがまた厄介だ。
転職したり、恋をしたり、
衝撃的な出来事が起こったりして、
誰かが運んでくれる刺激的な火種をひたすら待つ。
だけど、本当は自分で灯したい。
燃え上がらなくても良い。
針の穴程の光で構わない。
残り火を大切にするだけでもいいんだよ。
私の心の灯火だから。
好きなように灯しても。
30年ぶりに君に会った。
同窓会の夜。
懐かしい面子が揃う。
あの時、君と出会い、恋をして、付き合い
そして、別れた。
髪も白くなり、シワも増え、お腹も出ている僕。
「私も同じよ。だいぶ歳を取ったわよ。別人みたいでしょ」と君は笑いながら話すけど、君には30年経っても変わらないものがあるんだ。
それは、笑顔と香水の香り。
30年前の世界に僕を誘う。