#32【花咲いて】
花咲いて 漂う香り ただ甘く
酔わせ惑わせ 動かぬ手足
#31【もしもタイムマシンがあったなら】
過去か未来を選ぶのならば
過去に行きたい。
知らない時代まで行ってしまうと
ちょっと心配だから
産まれたあと…そうだな…
小学校卒業の辺りだと良さそうだ。
そうしたら、私宛に手紙を残そう。
中学生の私へ。
数学は図形以外も頑張れ。引き算間違えるな。
英語は雰囲気じゃ何ともならない。
文法をちゃんと覚えろ。
高校生の私へ。
世界史を選択するな。テストが100問各1点。
地獄だ。
他校の生徒と付き合うな。
自転車で2人乗りしたら、カーブで落とされて
道端に置いていかれるぞ。
大学生の私へ。
写真館のバイトは正解です。
しんどいけど笑顔でね。
社会人の私へ。
3年目に頑張りを踏みにじられる。
転勤するな、転職しろ。
うん。
これだけは伝えなくては。
#30【今一番欲しいもの】
ティファニーのリング。
もう、これ一択。
幼い頃、雑誌で見たティファニーブルーの美しさ。
何十年経った今でもずっと
私はただただ、憧れている。
いい大人だし、買おうと思えば買える。
でも、買わない。
いつか誰かがプレゼントしてくれるのを
ずっと待ってる。
#29【私の名前】
私の名前は
母が漢字の画数に悩み
響きも大事にしながら考えて
たくさん書き出した候補リストから
父が選んだ。
「これでいいんじゃない?」
リストの一番目に書いてあったからという理由で
呆気なく決まった。
考える事を放棄したヤツがいう台詞
第3位だと思う。
幼少期に、おままごとで喧嘩して以来
ちょっとずつ嫌いだったけど
この話を聞いてから
また少し嫌いが増えた。
そんな感じだから、名前に由来などはない。
でも、母のこだわりは3つある。
「子」が付かないこと
なるべくシンメトリーな漢字を使うこと
誰でも間違えずに読めること
だから、私の名前はよくある名前だ。
高校生の時には
名前も誕生日も同じ子がいたくらい
ありきたりなもので
マンガやドラマには
意地悪で嫌な女として、よく出てくる名前。
それでもそれなりに気に入っている。
シンメトリー過ぎて
未だにバランスよく書けないけれど。
#28【視線の先には】
ステージからは
お客様の顔が良く見える。
3階席のお客様の顔も
表情くらいは意外とわかるものだ。
ぐるりと会場を見渡す。
貴方の視線の先には、私がいますか?
貴方の会いたかった私が、存在していますか?