感情が揺れ動いた。
涙の理由なんて、それだけで十分だ。

猫舌の僕にとって、このコーヒーは熱すぎる。
でも、目の前で薦められてしまっては、このまま飲むしかない。
視界が歪むほどの湯気に顔を近づける。

選択肢の数だけ世界は分岐している。
今までの選択を振り返ると、無数に存在しているだろう。
その全ての選択に後悔はない。
どんなパラレルワールドより、自分が生きている世界が良いと信じていたい。

長針と短針が重なる1分間。
何かが起こるわけじゃない。
魔法が解けるわけでもない。
ただ1分が過ぎていくだけ。

一人で歩くのが好きだ。
でも、なぜか寂しさを感じるから。
一緒に歩いてくれる人を求めているのかもしれない。
それ以上の何かを求めているわけじゃない。
僕と一緒に歩いて欲しいだけ。