なぜ泣くの？と聞かれたから、頬を流れる涙に気づいた。
感情が揺れるような、きっかけがあったわけではないと思う。
ただ一粒流れた涙は、重力のままに落ちるのを抵抗しているようだった。
誰かに、何かを気づいて欲しそうに。

いつも意識していないだけで、足音を聞かない日は今まで無かっただろう。
歩く道、履いている靴、、地面を蹴る力強さ、、、
それぞれの組み合わせによって奏でられる足音には、同じものは存在しない。
それを人生の音だと言うのは大袈裟過ぎるかもしれないけど、間違いなく、人生と共にある音だ。

8月半ばになっても夏の暑さの勢いは止まらない。
いや、8月半ばだからこそ暑さは増しているのか。
地球温暖化なんて言葉に違和感を持たないほど、夏の暑さには慣れてしまった。
そういえば、去年は何月何日まで暑かったっけ。
思い出そうにも、暑さが邪魔をする。
記憶の中でも、夏が終わらない。