この道の先に待っているのは、希望か絶望か。
どっちでも同じだ。
変わらず前に進むだけ。
後戻りなんて出来ないんだから。
焼ける。
暑い。痛い。
日差しがじりじりと背中や首を焦がす。
日焼け止めはとうに汗で流れてしまっていた。
日除けの傘なんて洒落たものは持っていなかった。
すぐ近くだし別に良いかと外にでかけた、
自殺行為とも言える行動をした数分前の自分を殴りたい。
今日がこんなに日差しが強いなんて聞いてない!!
すぐにでも日陰に入りたいのに、足取りは重くて走ることさえままならなかった。
帰ったらアイスを食べよう。現実逃避をしながら足を進めた。
窓越しに見えるものは何もない。
夜だから外は暗い。
部屋の照明も落としているので、窓に部屋の様子が映し出されることもない。
闇だけがここにある。
その中に私はいる。
自分の姿すら見えない世界は、まるで、世界が全て溶けて消えたような気にもなる。
自分も他人も無くなって、闇だけが存在する。
そんな気がする。気にするだけだ。
明かりをつければ、ほら、また境界線が引かれる。
私という名の境界線が。
窓に、私の顔が映し出される。それが嫌で、窓を叩き割りたくなった。
運命の赤い糸?
永遠の愛?
それが良いものだと思える人間は、
きっと幸せな人間なんだろう。
何度同じ人間を好きになったところで、
不幸せな死が待っているのなら、
そんな運命、
ない方が良かったじゃないか。
――それでもあんたが、
幸せになることを諦めないって言うのなら、
最期まで付き合ってやるよ。
運命も、赤い糸も、永遠の愛も興味なんてねーけど、
あんたのことは、気に入ってるからさ。
無駄に分厚い、山のように盛り上がった雲が見える。
入道雲だ。
積乱雲だ。
遠くから見る分には夏を思わせて良いかも知れないが、
酷い雨の予兆でもあるので、
さっさと家に帰りたい。
やっぱり家の中が一番だよ。