うだるような暑さが体力を奪う。
ただ暑いだけなら木陰を探せばいいものの、
生憎纏わりつく湿気を帯びた暑さなものだから、
息をするのも一苦労だ。
熱く熱された水槽の中で藻掻く魚のように、
私達も、夏という熱された空気の中で藻掻いている。
煮えたって食えはしないのに。
蒸されたって美味しくはならないのに。
どうにもならないこの暑さの中、
必死に生きることしかできない。
あいつと最後に会ったのはいつだったか。
忘れるほどに季節が過ぎ去ったことに少しだけ寂しさを感じはするものの、
元気でやっているならそれでいいかとも考えている。
また会えば昔みたいに笑い合えるかは分からないけれど、
もし、再会できた時は、目一杯に笑って、「久しぶり」と言ってやろう。
その時まで、精々、長生きするさ。
1年後なんてどうせ、
無駄に歳をとったと苦笑いをするだけで、
特に何をするでもなく終わると思う。
子供の頃は、ひたすら苦しかったことを覚えている。
喉元を過ぎてしまったので、
何で苦しかったのか、どうやって脱却したのか思い出せないけど。
覚えていない方がいい事もあるので、
わざわざ振り返る気も、
思い出そうとする気もない。
苦しかった中にあった楽しい事だけ、
思い出せればそれで良い。
なんて、完全に忘れ去る事が出来たら、どんなに良かっただろうね。
ふとした時に思い出す“それ”のせいで、
何度叫びたくなったことだろう。
メリハリをつけていない日常は、すぐに穢れる。
ハレがなければケが溜まる。祓わなければケは溜まる。
祭り、祝いごと、様々な行事。
それらは基本ハレごとだ。ハレの日を楽しんで穢れを払う。
日常と、非日常を楽しんで、
ハレとケにけじめを付けて生きていく。
それが大事だと気付いたのはつい最近。
……そろそろ一年の折返し。夏越の祓(大祓)の時期ですね。
茅の輪くぐりに人形流しなど色々ありますが、
とりあえず水無月でも食べることにしましょうか。