【君の目を見つめると】
君の目を見つめると、いつも私と目が合うんだ。
だって、そうよね。君の目を覗き込むために、わざわざ私が君の正面に移動しているから。
必然的に、君は私のことを見つめることになる。
でも、君は迷惑だって言ったことなんか一つもない。
君の黒い瞳孔は、私が目をそらさない限り、私のことを映し続ける。
それでいい。それでいいのよね?
私は君を見つめていたいし、君も私を見つめていたい。
相思相愛とは、この事だ。そのはずだよね?
なぜ私を見ても、君は何も喋ってくれないのだろう。
もしかして……いや、やっぱり最初から。
私のことなんか、眼中にないんだよね?
【星空の下で】
大切な人が言った。
「あなたと星になれたら、ずっと一緒にいられる」と。
そんな時、あなたは、どう感じ、思い、声をかけるの?
私は、とても嬉しいと、ありがとうと喜ぶのだろう。
でも、私は、その提案を受け入れることはできない。
確かに、大切な人と星になれたら、ずうっと一緒に隣でキラキラと輝いていられるかもしれない。
だけど、私たちが発する星明かりは眩しすぎて、きっと大切な人の姿を隠してしまうから。そうして、お互いが見えなくなってしまうのはイヤ……イヤなのだ。
どうせなら、互いに顔を見合わせ、身体をくっつけて、手のひらをギュッと握りながら一緒に夜空を見ようよ。
たとえば、そう。ほら、星空の下で。
【それでいい】
直球すぎる言葉よりも、曖昧な言葉を欲している。
肯定しているのか、否定しているのか。
どちらでもあり、どちらでもない。
そんな中途半端な言葉だったら、いいのかもしれない。
「もう、それでいいよ」
あなたが、私に別れを告げた時のセリフだ。
私という「私」を認めてくれたのか、呆れていたのか。
あれは、どっちの意味だったのかな?
今でも私には分からない。
そして、これからも分からないままでいい。
【1つだけ】
私にとって、1つだけ、確かなことは何だろう。
私の目で見る光景だろうか。
私の鼻で嗅ぐ匂いだろうか。
私の耳で聴く音だろうか。
私の舌で味わう食感だろうか。
私の指で触れる手触りだろうか。
私の肌で感じる熱だろうか。
私の頭で覚える記憶だろうか。
私の口で話す言葉だろうか。
私の掌で紡ぐ想いだろうか。
たくさんの“確かなのだろうこと”があるかもしれない。何にせよ、私にとって、1つだけ、確かなことがある。
それは「私自身の身体や心で行うこと」こそが、きっと私にとって“確かなこと”であると思っていることだ。
【大切なもの】
私には、ありがたいことに大切だと思えるものが
いくつかある。
私に理解を示してくれる友人、仲間、同志。
私が尊敬している先生。
私の心の支えでもある本。
私の夢である作家業。
私が愛してやまない執筆、言葉、創作物。
私の好きな食べ物。私の好きな色。
優しさ。温かさ。誇り。思いやりの心。
握手。ハグ。愛。「好き」という感情。
私が私であるゆえの私。
大切な者も、大切な物も、その全て。