わたしにとってはふかふかのベッド。
-ふゆじたくに欠かせないの。
ぼくにとってはごちそう。
-これがあればたのしい毎日。
ぼうやにとっては 期間限定のおもちゃ。
-さくさく良い音がするね。
おばあさんにとっては色。
-春色のはんかちができる。
きみにとっては どうだろう。
枯葉はたくさんの役目があっていそがしい。
今日にさよならするころ、
今日、きみにもらったばかりの手紙を読んだ。
さくらんぼがちりばめられた私好みのレターセット。
可愛いシールも貼ってある。
見慣れたきみの字を見て嬉しくなる。
早く明日に会いたくなった。
朝のカフェラテ。
どこからともなく聞こえてくるピアノの音。
ふたりで絵本を読みながらするティータイム。
いちにちをほめてくれるような夕方の淡い色の光。
水色に浮かぶ少し白い月。
こんがり焼けたおいしそうな月。
好きな音楽を聴きながら書く寝る前の日記。
お気に入りは幸せを何度もつれてくる。
誰よりもおおきな君へ。
はじめてお手紙書きます。
なかなかお会いできないので、手紙をだします。
いつか君の背中に乗せてほしいです。
一緒におよぐのもいいな。
ほらあなみたいな鳴き声も聞かせて。
手土産にエビを持っていくね。
誰よりも優しい王さまがそのお願いをかなえてくれる時が来たら会いに行くね。
シロナガスクジラさん、じゃあまたね。
10年後の私からこんな手紙が届いた。
“たからものの箱がもうパンパンで蓋が閉まらないので、あたらしい入れ物を探しています。
たからものがひとつも溢れないように早く見つけてきてください。いそいでね、至急。”
それとは別にもうひとつ、ちいさいメモがある。
買い物リストのようだ。
・たからもの用ノート
・茶色のペン(替芯)
・水色のギンガムチェックの布
・フランスのレース
・チョコレート
− 10年後も変わらず楽しいようだ。
たからものはどんどん増えていく。