爪出さぬ作家。

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5/22/2024, 2:16:04 PM

朝6時。2度目の目覚ましを止めて目をうっすら開ける。重たい体を起こして洗面所へと向かう。一通りの準備を済ませたら朝食に準備していた菓子パンを食べる。歯を磨いて髪をセットして家を出る。街の音は聞き飽きたから音楽を聴く。音楽を聴くと違う世界にいるみたいな気分になれる。電車に揺られながらぼんやり外を眺める。線路脇の道路では子供を後ろに乗せた父親がスーツ姿で自転車を漕いでいる。あとひと駅で下車駅。軽快なリズムが耳のすぐそばで鳴る低めのビートと微妙なリズムを奏でながらドアが開く。人の波に上手く乗って改札をでる。駅から5分歩いたとこで音楽を消す。いつもの学校の音がする。「おはようございます。」校門に立っている先生に一応挨拶をする。いつもの下駄箱、いつもの上履き、いつもの階段を上がりいつもの教室へと入る。1ヶ月前から変わらない窓側の一番前の席へと座る。窓を開け、湿っぽさが増えてきた春の風を教室へと招き入れる。30分後、いつものチャイムがなり担任の昨日と同じような話を聞く。外に空を移動する雀がいたので眺めていたらいつの間にか担任は居なくなっていて、別の先生が教壇に立っていた。本日4回目のチャイムがなり教室はその先生の声だけになった。そんな授業を6回重ねている間に、また担任が教壇に立っていて朝と同じようなことを言っている。そして最後にはお決まりの「また明日」。それを言い終えるか否かの所で部活勢は一斉に動き出しあっという間に教室から消え去っていく。廊下の賑やかさが校庭と体育館に移動された頃、教室を出た。下駄箱には僕以外誰もいない。朝来た道を辿っていく。また明日も。また明日、明日も僕は学校へ行く。