この人は私になにを求めてるんだろうって思うかも。気持ち悪いって思うかも。逆にこの人は何を考えてるんだろうとか、心読んじゃうかも。
人と関わりたくない。極力、面倒事を起こしたくない。
推しなんていないし、突出した能力もない。特別好きなものといえばありふれた決まり文句。三日坊主で内気。何も知らない。何も知ろうとしない。自分で好いて、自分で嫌う。セルフレジみたいな人間。こっちで勝手にやるから、私の安全領域に入ってこないでくれ。傷つけないから、傷つけないでくれ。
たまに考える。自分の容姿は本当はとても整っていて私はそれに気づいていない、だとか。私にはこんな才能があってまだ開花していない、だとか。
でも、それは結局全て妄想でそんな夢物語の様なことは起こらない。ありえない。身の丈に合った幸せを生きることができるのだから幸せ者だ。お腹が、すくこともない。命の危険に晒されることもない。温かいご飯、寝床、居場所。両親、友達、自然。当たり前がそろっている。ただ、ぼんやりと「普通な幸せ」を生きながら形の曖昧な悩みを抱えて、誰にも話すことなく枯れていく。
お休みなさい。
私は人の心を読む。今、この人は何を考えているんだろうとか、不満なことは無いだろうかとか、私の行動は差し支えなかっただろうかとか。気づかないうちに人のことを気にしすぎてしまう。これはひとえに父親のせいであるといえる。全てを父親のせいにするつもりはないが、反抗期を迎える前までは、父親など怖い存在でしかなかった。先程まで陽気に喋っていたと思ったら急に不機嫌になり、と思ったら酒を飲み、絡んでくる。頭が良い父親は、スーパーなどでよく計算をさせた。私はこの時間が嫌でならなかった。たまに電卓を貸してくれたが、使い方のわからない機械を渡されたところで?は消えない。これを一個買うとこれが三個も買えるんだよ。そういうこともよく考えてね。などと言われても困るのである。小1の女児にそんな事を考えながらお菓子の買い物ができるほどの能力があるだろうか?私にはなかった。今思えば算数を教えてくれていたんだろうけどその頃の私からすれば迷惑でしかなかった。気づけば、反抗心も芽生え、なるべく事を面倒にしないように、と話す内容も気を遣った。父が反論してきそうなことは全て避けた。誤解があっても言わなかった。母はそんなことよりも自分のしっかりとした意見を伝えて、父の機嫌を読まないのでよくイライラさせられた。
自分の心など持っていない。
実際、この人の心を読む、という行為も正確に出ているのか、私は自分の中に意見があっても決して強く求められるまでは発しない。自分の意見、考えは必ず誰かと同じで誰かと違う。当然だ。それが人間。だからそのせいで人と対立しなければならないのが、人と必要以上のコミュニケーションを取る必要が嫌だ。生きていれば誰かとすれ違うことなんていくらでもある。その一つ一つを気にしていたらキリがない。見たはね、静かに本読んで誰にも話しかけられず、誰にも話しかけず。おしとやかで物静かな子って思うかもしれない。でも私人間だよ?話しかけられればそれなりの受け答えはするし、相手の心読んで結構いい相手演じられてると思うけど。これだから。これだから父親に嫌われるんだよね。別に嫌いって言われたわけじゃないけどさ。声は小さいし、突出した能力ないし。内気なくせに気に入った相手とは話すから周りをとても傷つける。自分もとてつもなく傷つく。触ったら崩れるくらいに私の心は弱い。笑っててもね、人間相手に心読んでればそれ相応の気疲れはするし。変な人間だよね。
私、人間向いてないから。
お休み