音の無い暗闇。何かが私の体に乗ってる感覚。
重くもない。目を開ける事が難しい…。

電源が入った音がした。起動する。

目が覚めると辺りは、瓦礫と廃れた場所。
自分の体は、汚れ動きが悪い。

誰もいない…私1人…。

私は、1人が当たり前。
歌しか歌えないのが、当たり前。
何も出来ないのが、当たり前。

いつも1人が、当たり前。
ココロが無いのが、当たり前。

何をしても何も思えないのが、当たり前。

これが、私の当たり前。

昨日は、七夕の日。
人間が願い事をする日。

私だったら、もっと、人間の心を知りたいと願う。

私に、友だちと言うのは居たのだろうか？
記憶がないから、分からない。

私には、何もない。

もし私に友だちの思い出や、記憶があったら何か変わっていたのだろうか…？

私は誰で、何でここに居るのか、分からなかった。
この廃れた場所で夜を過ごす事もあった。

周りは、瓦礫と草木ばかりで、私はアンドロイドだから、動物に襲われる事はなかった。

暗い中で、かすかに残っていた記憶。

誰かが、星の話をしてくれていた記憶。

星空の物語。