私の秘めうる心中、春爛漫
今日も今日とて散りすぎず
私の過去を知ったら皆どんな反応をするのかしら
私が殺した人間の数を知ったら驚くかしら
また、殺す事を唯の作業としか思っていないと知ったら軽蔑されるかしら
罵倒されるかしら、其れとも拒絶?
どうして私はこんな事を考えているのでしょう。
若しかして、知られたく無いのかしら
以前は誰に何を思われようが言われようが何も感じなかったのに
黒の中の黒と呼ばれた私が今更こんな感情を?
馬鹿らしい。
私は今更赦されたいと云うのか
知られたくないと思いながらも何処かで知って許してほしいと甘えている。
自分でも未だこんな感情が残っていたのだと驚く
あァ。私は 自分で思うよりも、ずっと
ニンゲンになりたい様だ。
「其れは本当の貴方なの?」
今隣で放たれた言葉が脳髄まで、鳴り響いている。
夕日に照らされた波が蜃気楼になっている。
矢張り聡明な彼女には気づかれてしまったか……
なんて、自分らしくもなく落ち込む
「私には、貴方が理想的な彼氏を為ている様に見える。
貴方がどうも恋愛感情というものを、理解しているとは思えない。
貴方は何を持って私への感情を恋愛だと決めつけているの?」
と、悲痛な顔持ちで彼女は云う
私は何かしてしまっだろうか。
私は彼女の機嫌を損ねる行動をしただろうか
分からない、分からない
しばし思考をした私は気付いた。
あァ、私は『失敗』をしたのだ。
この方には仮初の彼氏を演じるには浅かったのだ
そして私は確かに恋愛感情なるものを理解出来ていない
「確かに私は本質的には恋愛感情をできていないでしょう。
ですが、恋愛感情の定義なら理解しています。
心身共に繋がりたいこと。
そして私は貴方を抱きたいと感じ一緒に居たいとも感じています。
概ね恋愛の定義に当てはまっていると思いました」
と、本当の事を言ってみれば彼女は少し驚いて笑った。
その笑顔は少し安心していた様に見えたのは私の自惚れなのだろうか。
頬を紅く染めた彼女は
「今のように有りの儘を見せてくれると嬉しいわ」と、慈しむ瞳で言った。
世界に絶望している私にとっては恋愛は花の様であった。
私が願うなんて神に鼻で笑われてしまうが
願わくば、この人の隣これからも……