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8/18/2023, 2:57:13 AM

私には捨てられないものがある。もの、というとおかしい表現かもしれないけど。
今日も私はSNSアプリを開く。そのアプリで愚痴を吐き、共感を得る。これが私のルーティーンになっていて、それをしないとなんだか気持ち悪くなるほどだ。そしてそのアプリを非表示にして、携帯の画面を閉じる。
『がちゃっ』とちょうど彼が帰ってきたらしい。私は慌てて玄関の前まで小走りで向かい、おかえり、と迎え入れる。彼は、ん。と言って私の前を通って行く。また無視か、だなんて思いながら、彼は一体私の何なのだろうか、と考える。昔は彼も優しくて私も心に余裕があって。楽しい生活を送っていたからそんなこと思わなかったのに。今は彼は素っ気ないしかくいう私もなんだか上手く話せない。
彼は手を洗うとすぐさまソファに座りテレビをつける。私は1人で夕食を作る、昔は手伝ってくれてたのにな。なんてことを思い出しても彼は手伝ってくれないので諦めて、適当になにかご飯を作る。
出来たものを机に出して、できたよ。と彼に声をかける。その私の声にも無視、でもキリのいいところでテレビを切りこちらに来てくれる。今日は珍しくテレビをつけないでご飯を食べるらしい。久々に私と話す気にでもなったのだろうか。ちょっとした嬉しさが込み上げてくるけど平常心を取り戻そうと深呼吸をする。
彼は、友達をここに連れてきて飲んでもいいか。と聞いてきた。意味がわからない。私は毎日仕事をして洗濯も掃除もご飯も全部全部しているのに。家事は女がやるもの?それは普通の同棲の話。
彼は、働いていないのだ。それなのに何でもかんでも私に任せて。。だから愚痴アプリの投稿が捗るんだ。私は今まで彼のことが好きだったはずなのに『プツン』と何かが切れたように彼への気持ちがひゅっと冷める。
私は、それならここの家賃払って仕事も掃除も洗濯もご飯も自分でしなよ。と言った。彼は困惑していたけど私にとっては別れようの合図であり、私はその後無言で夕食を食べた。彼は戸惑い気味にカレーを口に放り込んでいる。私は平らげたカレー皿を流し台のところに『ゴン』と音を立てて入れる。彼はそんな私を見て驚いていた。

今まで捨てられなかったものだった彼に今日嫌気がさし私はやっと捨てることが出来た。荷物をまとめて私は出ていった。彼には色々学んだことがある。彼のようないわゆるヒモと見分ける方法や、対処法。この先何があろうと彼よりはいい男に出会えるはずだから根気強く生きよう。そう強く心に思ったのであった。