『窓越しに見えるのは』
ふと窓越しに見えるのは年老いた母の姿。
どんどん痩せて、細く、腰も曲がっていっている。
それでも家族のために、毎日ひたすら家事をしている。
私はあなたみたいになりたかった。
あなたのように、家族のために料理をし、洗濯をし、どんなに忙しかろうと、体調が悪かろうと、弱音を吐かず、家族を、家を守り続けている。
私はあなたに到底及ばない。
あなたの子で良かったと思うことはたくさんある。
愛を与えてくれてありがとう。
あなたの味で育った私は意外と料理上手。
時間があれば洗濯機は1日に何度も回す。
アイロンがけだってやる。
うちは裕福な家庭ではないけれど、
食べ方や話し方が上品と言ってもらえることもある。
小さくなっていくあなたと過ごす時間。
私はもっと一生懸命生きないといけないな。
あなたのように。
『赤い糸』
あぁ、この人に会うために今までのつらい経験があったんだ。
私たちって赤い色で結ばれてるのかしら。
なんて、恋愛するたびに思う。
そしてまた失恋しちゃった。
あなたの決断だから、仕方ない。
もう私の声は届かないのだろうけれど、
今でも好きです。
お付き合いするまでの数年間。
私には他に恋人がいた時があったけれど、
それでも好きでした。
いつもあなたの背中に励まされました。
短い恋人期間。
自分から好きになって、想いを伝えた初めての人でした。
あなたはあなたで、1年以上私に恋心を抱いてくれてたのよね。
嬉しかったよ。
私にとって、本当の意味での初恋だったんだと思います。
これまでずっと好きだったし、これからも大好きよ。
好きになりすぎちゃってごめんね。
まだ連絡が取れるように、あなたはアカウントを消さないでいてくれているね。
でも私からは送らないよ。
あなたがまた私を求めるなら、私は喜んであなたを抱きしめるわ。
ねぇ…。
私たちの絆は深い、って信じて良いのかしら。
私たちの糸は、切れそうで切れない、そう思っていいのかな。
毎日こんな事を考えているよ。
この思い、あなたに届きますように。
入道雲…まではいかないけれど、最近の空には夏の雲が見られるようになった。
これから本格的な夏がやってくる。もう7月。
夏はいつもひとりぼっちだ。誰もいない。
夏は切ない。
夏至が過ぎ、日没が早まり、
あっという間に秋が来てしまう。
今は気候変動が酷くて、ゲリラ豪雨なんてあるけれど、そんな言葉がない頃は、夕立があったなぁ。
今は夕立って言葉じゃすまないくらいの突発の雨が降る時代になっちゃったな。
昔は夕立が好きだった。
雨上がりの空の色の美しさ、雨の匂いが好きだった。
もう、ときめくものすらない。
花を見ても、綺麗とは思うけれど、それだけで。
雲を見るだけで心が満たされた私が懐かしいなぁ。