一秒一秒
貴方との距離が
離れてく
無情に過ぎる時間
まだ
忘れるには早いから
お願い
あの人に
忘れ去られないように
ゆっくりと過ぎて
想いは胸に
まだ息づいてる
「時間よ止まれ」
あの明かり
一つ一つに
物語がある
暗闇の向こうに浮かぶ
家々の明かりに
暖かい食卓を囲む
幸せそうな家族
そんな優しい光景を
自分勝手に想像し
独り別世界に居るようで
伝う涙をそのままに
あてもなく走り続けた
いくつもの夜
生きにくさの訳を
手放せないまま
それでも
歯を食いしばって
生きてきた
「夜景」
「貴女の言う通りだった」
って
数ヵ月後のmail
誰にも生きてきた年月分
色々な可視不可視の荷物がある
お花畑に辿り着くまでの
道中の大変さを
想像する事は難しかった?
貴方の部屋で
倒れ込んで眠った時も
真夜中に家を飛び出して
川辺で一人泣いた時も
まだ諦めてはなかったんだよ
楽しかったよ
元気でね
と
過ぎた昔に蓋をした
あれは
暑い夏だった
「花畑」
私の好きな
澄んだ水色に
白い雲のインクルージョン
この優しい空は
繋がっているのに
手を離されたあの日から
私の時は
止まったまま
夕暮れ
静かに空が泣き出す
何かを洗い流すように
冷たい雫たちが
長い髪を伝う
もう
忘れよう
忘れるから
今日だけは
私の為に泣いて
「空が泣く」
あの夏の日
突然のさよなら
最後のLINE
何の猶予も無く
自分のせいにして 君は
後出しの理由を残し
一人 幕を下ろして消えた
脆さを露呈した一本の
切られた赤い糸の先は
血を滲ませて
虚しく空を泳いだまま
伝えられない願いを
胸の中で叫びながら
優しさの無い暗闇の中で
ただ時薬の中に身を浸した
秋
麻痺した心に 風が
季節の変わり目を教え
今
涙は 遠くなった
二度と結べない糸なら
もう望まない
分かっていた
だってあの日君は
振り向かなかった
「君からのLINE」