雲には乗れると思っていた
悟空もいると思っていた

作り話だと知らされて
いろんなことを信じる気持ちが
擦り減ってきたけど

あんなに確かな入道雲
乗れないと決めつけたら
何もできない気がする

痛いくらいの日差しに
うるさいくらいの蝉の声
空も緑もやたらと濃い

絶好調の太陽のもとで
それぞれが最大限に生きてる感じ
そういう激しい夏も好き

この仕事は自分じゃない気がする
もっと別の生き方があるはず

はっきりと何がいいと言えないのに
これじゃないなんて我儘でしょ

ここではないどこかを求めるのは
そんなに悪いことなのか

ゴールもあやふやで右往左往するのは
非効率で非生産的でしかないのか

これでいいと堂々と言える日が
早く来てほしい

そうやって早さを求める自分も結局
効率に縛られていて悔しい

毎日のように会っていた人が
ある日を境に日常からいなくなる

新しい自分を始めることと
人間関係の精算がセットのような気がして
二年半も経っていたけど

君と最後に会った日が
つい一週間前になった

昔の自分を知っている人に
新しい自分を見てもらえるのは
案外うれしいのだと知った

花を見るのが好きだ

近所の畑のすみっこに
いつのまにか新しい葉っぱが現れる
蕾ができると期待も膨らむ

どんな季節のどんな花も
枯れて落ちてもそのまんま
畑の肥料になるのだろうか

繊細な花は
逞しく生きて潔く還る
見えなくなってもなくならない