ゆま

Open App
8/13/2025, 5:18:28 AM

夏がこんなにも鮮やかなのはどうしてだろう。
 
赤、りんご飴。
君と歩いた夏祭り。

オレンジ、暮れる夕日。
帰りたくなくて、離れたくなくて。

黄色、向日葵。
見上げる高さに君は笑う。

緑、山々の稜線。
あの向こう側へ君は思いをはせて。

青、輝く海。
なによりも君が眩しいだなんて、気障なセリフがついこぼれる。

藍、君の浴衣。
あの日よりも大人びた君に見惚れた。

紫、夜を待つ空。
今、大輪の花が打ちあがる。
 

あの日の虹は、鮮明に――。

 
夏が鮮やかなのは、君が隣にいたから。
 

【真夏の記憶】

8/12/2025, 8:42:17 AM


 
じりじり、じりじり。
太陽も、蝉も最近はなんだかけたたましい。
まるで人類を地上から追い出したいみたいだ。
そんなの知るか。
あたしの世界、あたしの居場所。追い出されてなんかやらないわ。
 
こうなりゃ徹底抗戦だ。
暑さなんかに負けやしないと、果敢に外に飛び出すけれど。
ものの数分で限界突破、我慢ならずに駆け込むコンビニ。
アイスクリームを手に取って、勝利を確信第二ラウンド。
 
大きく口をあけて一口。
ひんやりと至福。とろけるのは一瞬。
夏の熱気はあっという間にアイスを溶かしていく。
ぽたぽたこぼれる、ああ、待って!
これはあたしのアイスクリーム、アスファルトなんかにあげやしない。
 
夏とあたしの一騎打ち。
負けられない戦いは、秋が来るまで。
 

【こぼれたアイスクリーム】

8/8/2025, 5:19:39 AM


ぐるぐるぐるぐる
ここはどこ
ぐるぐるぐるぐる
行先知れず
 
方角を見失ってからもうずっと迷子だ
 
あれもこれも輝いて
あれもこれも私を手招く
 
興味を惹かれて一口つまんで
うーん
心はなかなか震えない
 
ぐるぐるぐるぐるめぐる果て
いつかどこかにたどり着く?
 
コンパスは踊る
足跡は那由多
 
歩き回って彷徨って
果てなき旅はまだ続く
 
 
【心の羅針盤】

8/7/2025, 3:15:02 AM

名残惜しさを言葉に込める。
 
無事に今日を終えれるように。
変わらず明日が始まるように。
 
手を振りながら、はにかみながら。
それはまるで祈りにも似て。
 
君と紡ぐ日々こそが、僕が生きる世界だから。
 
短い言葉にささやかなる願いを込めて。
今日も君と約束を結ぶ。
 
【またね】

8/6/2025, 2:57:25 AM


その結末に惹かれていた。
満ち足りた幸福とは程遠い。痛みを伴う激しい愛にあなたは殉じた。
 
あなたのようになりたいの。
海に消える真白は彼女の心。
愛する人のためにすべてを擲つ純真。
 
あなたのようになりたいの。
大きな海に抱かれて消える。
その結末はあまりに尊く。
 
ねえ、アンデルセン。
これは罰かしら。
 
歪んだわたしは、どうしても自分を大切にしてしまうから。
逆巻く波に身を投げたって、結局最後は炎の中。鈍色の灰にしかなれやしない。
 
憧れはいつだって御伽噺。
あなたのように、真白に消えたい。
 

【泡になりたい】

Next