素足のままで



冬の入浴は命懸け

我が家の風呂場は窓なし陽光ゼロ

冬は身も凍るほどの寒さとなる

脱衣所の床も　風呂場のタイルも

刺すほどに冷たい

シャワーのお湯もあまりの寒さに負けている

そこを素足で歩くだけでなく

全裸でうろつくなんて

自ら死にに行くようなもの


毎年お風呂マットを買おうと考えるが

結局風呂キャンセル界隈に成り下がってしのぐ

もう一歩だけ、



人生いろいろあるよ

勝ち続けようとしなくていいのよ

打ちのめされても

痛がってもいいのよ

全身地べたに這いつくばっていても

髪の毛1本でも　前を向いていれば

見知らぬ街



国内を旅して回って

なんとなく気づいたことがある

初めて見る街でも

必ずどこかの街に似ていることを


有名観光地の最寄駅と周辺の街が

お世辞にも栄えているとはいえなくても

観光地だけは、どこから人が湧いてきたんだ

っていうくらい、観光客でごった返していることを

遠雷



子どもの頃

遠くで聞こえる雷の音は

でっかいリスが

でっかいクルミを転がしまわっているからだと

思っていたんだよね

Midnight Blue



深夜に熱帯魚の水槽を眺めるように

静かで　静かで


誰かに目を塞がれたように

暗くて　暗くて


日中の出来事が

じわじわと浮かび上がっては消える

怒り　悲しみ

腹の底でドロドロと渦巻く


ネオンのイルカがはねる

派手な電飾看板


深夜だというのに

この街はいつも

真昼のように明るい