眩しくて




目覚めたての

朝日が眩しくて

眩しくて

目が潰れる


潰れる目があることに気づく

熱い鼓動



25mのプールを

泳ぐ泳ぐ泳ぐ

端まで泳いだら　身をひるがえしてターン

往路は奇数　復路は偶数


泳ぐ泳ぐ泳ぐ

泳ぐ泳ぐ泳ぐ


やがて全身が熱くなる

冷たいプールの中で

体が燃えそう


冷たい鱗の魚たちも

燃える体で泳いでいるのか

タイミング



通勤路の大きな交差点

右折・直進

直進

左折



赤信号

縦に並ぶ車たちの

バラバラに瞬くウインカー



前の車と自分の車

ウインカーが同調したら

この車の運転手と

なんだか心が通ったような気になる

すぐにズレていくけど

虹のはじまりを探して



空にかかる虹とやら

お前は七色あるというが

色とは一体なんなのか

わたしは夜目がきく代わりに

色とやらが分からない

わたしの瞳から見える世界は

全てが無色でぼやけている

どうやらわたしの瞳では

お前をとらえることはできないようだ



人間がうらやましい

総天然色で世界をとらえる瞳が



最後にどうしても

虹を見てみたいと思い

わたしは虹の根元を目指した

長い旅の末

わたしはようやくたどり着いた

どうやらここで合っているらしい

今わたしの目の前にある橋こそ

虹色と言うのだろう



ようやく

ようやく見ることができた

なんと美しいのだろう



次は人間に生まれますように

オアシス



口を閉じて

千と一夜　星降る夜に

枕元で語りましょう


こごえる砂

覆う異国の絨毯

鮮やかな果実の放つ香気


水をあげましょう

杖を振れば　溢れるグラス

こぼれたら　捨て置くも

舐めずるも

あなたのお気に召すまま


這いずる蛇の

瞳に気をつけて

黄金のスカラベに

この身を食わせ


満月が照らす

夜のオアシス

誰も知らない

誰も来ない