誰かしら？



ちゅんちゅんちゅん

窓の外から聞こえる声

誰かしら？誰かしら？

忍び足で近づくと

カーテンに映る鳥の影

誰かしら？誰かしら？

そーっとカーテンを開けたけど

ベランダにはもう誰もいない



ちりん　ちりん

窓の外から鈴の音

誰かしら？誰かしら？

出窓から見てみると

黒ねこが庭を歩いている

そーっと窓を開けたけど

庭にはもう誰もいない

時間よ止まれ



あなたと過ごす

この時間が

いつか終わってしまうなら

時間なんて

止まればいいと思います

君の声がする



子どもの頃のことほど

よく覚えているのはなぜだろう

今でも時々思い出す


癇癪持ちの娘に翻弄される母の嘆息

父親に叱られこぼれる弟の涙声

愚鈍な私を責める同級生の怒声

はじめて飼った黒猫の鳴き声


今でも時々思い出す

思い出したくないことほど

そっと伝えたい



聞こえますか…

わたしはいま

あなたの脳内に直接語りかけています…


今からとても大切なことを

あなたにお伝えします…


じつは

我が家の猫ちゃんは

極上のふわふわ胸毛の持ち主なんですよ…

淡雪のように白く

羽毛よりも繊細でやわらかい

指を入れると第一関節まで覆われる毛量

天使の羽とはまさにこのことです…


このことを声を大にして伝えると

うちの猫ちゃんの胸毛をモフろうと

たくさんの人々が押しかけてしまうので

ここにいるあなたにだけお伝えしました…

未来の記憶



わたしが歩む道を

すでにわたしは知っている

すべては未来のわたしからの

みちびき