お気に入りの瓶から星が溢れる。少なくなったから補充しようとしたのだ。
横着して漏斗を使わなかったから。ちょっとよそ見をしていたから。
ころころと転がる星をつまみ上げ、口に含む。
口内でとげとげした星がゆっくり溶ける。じわり広がる甘味を飲み込んで、通販サイトで追加注文をした。
安らかな瞳。何故か女性の顔が思い浮かぶ。髪型はワンレンのソバージュでノースリーブのワンピースを着ている。絵柄はミュシャ。
男性を思い浮かべようとするなら、黒髪オールバックの壮年の男性だろうか。普段は厳しい父の顔をしているが優しさがにじみ出ている。
ただの妄想になってしまった。
無条件にずっと隣にいてくれる人がいればいいのに。
敵だらけの世の中は疲れた。ただいるだけで疎まれる。発言するとその場が凍る。頼んでもいない私当番の人が他の人に慰められている。
何をどう改めればいいか聞いても答えがない。ただこの場からいなくなって欲しいと願われている。だからいなくなってあげている。
寂しい。隣に誰もいない。私の隣の席を誰かが押し付けあっているのをもう見たくない。
知識欲が強い方かもしれない。
最近気になったのは『美人局』と『ハニートラップ』の違いだ。調べてみると、求めるものが違うらしい。金品を得る目的なのが美人局、情報を得る目的なのがハニートラップ。
ふと抱いた疑問を調べるのは楽しい。知った分だけ見える世界が広がるのが楽しい。
平穏な日常ほどかけがえのないものはない。ジェットコースターのような人生は物語の中だけで充分だ。
と思っていたが、平穏な日常を描いた物語だって面白い。エンタメ性に富んだ作品になるとどうしても波乱万丈になり、コンディションによってはそれが疲れることもある。おじさんが黙々と食事をするドラマが流行ったりする。
人間生きているだけで物語なんだなぁなんて陳腐なことを言って平坦な日常を送っている。