1/24/2023, 11:53:34 AM
【逆光】
記憶はいつも
あなたの輪郭だけ
海を背にして写る
表情のない写真のよう
幸せだった
全ての曖昧を携えて
暮れゆく陽の残り
世界は溶け合おうとして
あなたに跪いていた
幸せだったのだ
一本の地平線
なだらかな雲
風景は拡散していく
私はあなたを織り交ぜ
記憶と言う微かを知る
今にも壊れてしまいそうな
あの瞬間はいつも逆光
1/20/2023, 12:58:57 PM
【海の底】
波を いちまい いちまい めくって
辿り着く
白く あわただしい 毎日に
擦り切れた記憶の そこ
そのまた奥に 横たわる
何も無いように いきる
ここは果て
小さな港みたいな 哀しみから出発した
ここは果て
息を潜めながら おもう
涙とおなじ 波の音を
1/18/2023, 11:37:38 AM
【閉ざされた日記】
眠たい授業
空へ登っていく
今日という日
掴めそうで掴めない
足音
蛇口から水が落ちる
髪を纏める
ヘアゴムは緩い
三行で終わる
今日を知らない
誰も
1/15/2023, 11:50:03 AM
【この世界は】
市場で一玉120円で売られていた、白菜を買う
旬の食材とあって肉厚
家に帰って包丁を入れる
隙間から虫さんがこんにちはしてくる
黒い甲虫みたいなやつ
芋虫みたいなやつ
なんか死骸を軒並み流水にて除去
完成された小さな世界の崩壊
アベンジャーズなら私が悪役だ
全ては静かに排水溝へ消えていく
そうして鍋が完成する
この世界は、とても美味しい
1/12/2023, 3:31:38 AM
【寒さが身に沁みて】
冷たい雪が降る夜に生まれたから
きっと熱帯夜に死ぬのだろう
ひとりぼっちはさみしいらしい
孤独をかき集めてもだめらしい
たくさんの人がひそひそ囁いて
言葉があわ雪のように消えて
しーんとした夜
そんな夜しか知らないから
身に沁みた寒さ
凍えるような静けさだけが