もしも未来を見れるなら
もしも未来を見れるなら、私はあなたがこの世界にいるか知りたい。どうしてか?それは、貴方が特攻隊員さんだから。私は、どうしても行ってほしくない。だけれども、彼には行かなければならない理由がある。それに反対することはできない。私も、生きていられるかわからない。この先の事なんて、誰もわからない。だから私は、未来で貴方が無事に生きている事を願う。欲を言えば私と貴方が未来で子供に囲まれ、更には孫にも囲まれ…そんな幸せな景色を私は見てみたい。
「貴方なら、未来と過去どっちを見たいですか?」
無色の世界
無色の世界に色を付けてくれたのは、君だった…。
僕の世界に色はない。
「おい、早く起きろ。」
いつものように、朝からうんざりする声で母親から起こされる。
「おはよう。」リンビングに行って声をかけた。
「…」返事はやはりない。これもいつものこと。朝ごはんは自分の分は用意されてないので、自分でする。パンをトースターで焼く。その間に洗面所でバケツに入った雨水で顔を洗ったり、歯磨きをしたりする。ちなみに、この雨水は、3日前の雨の日にとれた。自分だけは、水道の水を使っちゃいけないし、使わせてもらえない。
リビングに戻り、トースターからパンをとりお皿にのっけていると姉が僕の手を叩いた。パリンッとお皿が割れた。落ちたパンを先に拾おうと手を伸ばすと姉が素足でパンを踏んでいた。
「皿片付けてよね。キレイに。」とにやにやとパンを踏みながらこちら側を見ていた。僕は勿論反論は出来ない。ここで反論をしてしまうと家をなくしてしまう。まだ僕は中学生だからそこは避けたい。するとドタドタ足音が聞こえた。
「うるいなぁ。朝から、誰だ!皿を割ったやつは!掃除しろ!」と父親が言う。僕は
「僕が割りました。すみません。今片付けます。」そう言い、片付けを始めた。片付けが終わる頃には、登校しなければいけない時間だったので急いで家を出る準備をし、姉が踏んだパンを仕方なく食べながら行くことにした。
学校だけが僕の唯一の居場所だ。みんなが優しいから、僕も温かい気持ちになる。そんな、うきうきの気分で登校していると後ろから
「わぁッ!驚いた?」と僕のクラスメイトの女の子が驚かしてきた。
「毎日驚かされたら、驚かないよ。」と微笑みながら僕は言う。そしたら、
「えぇ〜!じゃあ何したら驚くかな?」と。僕は、
「何があるかな?」ととぼけてみせる。その後、歩きながら、彼女の今日はどんな色が空にあるとか、好きな色の話をしていた。彼女の目には、キレイにこの世の中が写っていると思うと、僕も見たいなぁと歩きながら思っていた。すると彼女は急に深刻そうな顔をして、
「ねぇ、そのパンどうしたの?すごく潰れてるよ?まだ、続いてるの?」と僕は
「うん。続いてる。このパンは、姉が足で潰したんだ。」バレないように、笑顔を作って言う。
僕の家庭の話を知っているのは、この娘だけ。この娘はいつも僕のことを心配してくれている。だから、僕もこの娘に心配かけたくない。我慢をする。だけど、このとき僕は本音が小さく漏れた。「僕の世界にも、色があったらな〜」。この言葉を、この娘は聞いてたみたいだった。
学校が終わり、下校しているときにあの娘が
「いいもの見せてあげる!だから、ついてきて!目をずっと開けててね!」といい、二人で走った。走った先についたのは僕の家だった。
「なにするの?」と僕が言うと、
「まぁまぁ、見といて!」といいその娘のあとをついてった。家の中に入ると、父親はタバコを吸いながらお酒を飲んでいて、母親は僕のバケツの水を捨てていて、姉はテレビゲームをしていた。その中に、僕とこの娘が居ると分かった瞬間僕をいつものように殴ろうと父親がこっちに来て手を振り上げたとき、僕は目を閉じ体勢を整え待っていたらいっこうに手が来なかった。むしろ、悲鳴が聞こえた。僕は、目を開けると女の子が包丁で父親の腕を切っていた。
「ぎゃぁぁぁ!」
とあちらこちらで聞こえる声に驚きながら彼女を見た。彼女は笑顔で
「目を絶対に閉じないでね!」とだけいい僕の家族を刺しに行った。
あれから、何時間たっただろうか悲鳴すら聞こえなくなった。みんな死んだのだ。女の子は血まみれになった顔でこちらに振り向き、
「ねぇ!色見えた?きれいな色してた?」と。
今まで無色の世界だったのが、君に本音をつい漏らしただけで僕の世界に色を付けてくれた。だから僕は、
「うん!とてもきれいな赤色だった。」と笑顔で言った。
桜散る
「ねぇ、私と付き合って。」
彼女には1週間でやりたい事があるそうだ。なぜ、1週間なのかはわからない。詳しく聞こうとすると、はぐらかされる。だけど、彼女は僕にこう言った。
「私と付き合うっていうのは、あくまでやりたいことを一緒にする人って事。だから、何があっても私のことを好きにならないでね。これだけは、絶対。」約束は守るし、君のことを絶対に好きにならない…そう思っていた。
1日目
「男の子と遊園地デート!」パシャッ
2日目
「図書館で勉強会…とデート!」パシャッ
3日目
「公園でピクニック!あっ!あとフリスビーで遊ぶ!」パシャッ
4日目
「熱が出たっていう設定で、私が君を看護する!」
「どんな設定だよ…」パシャッ
5日目
「映画館で2本映画を連続で見て、その後ゲームセンターデート!」
6日目
「お家デート!」パシャッ
7日目
「今日までの事をお互いに手紙を書く!中身は、今見ちゃダメッ!」パシャッ
…この7日間ずっと彼女がやりたいことを僕と一緒にやってきた。デートばっかだったけど、常に笑顔だったから彼女の写真を撮っておいた。久しぶりに、こんなにも楽しかったな。と手紙を書いた帰りに思い出を振り返っていた。来週も、なんかやらないかな?次は自分のやりたいことを一緒にやろうって誘おうかな?
僕は、いつの間にか君の虜になっていた…
8日目
プルプルプル…プルプ…ガチャ
「はい。はい。そうですけど…何かありましたか?えっ?…し、失礼します。」ガチャ
電話がかかってきた。病院からだった。"彼女が今日の朝亡くなったと"いう知らせだった。
彼女は、病気だったらしい。僕と付き合う3日前に、もう残り時間は少ないと伝えたら「まずは、1週間やりたいことをやりたい。」と言っていたそうだ。僕は「じゃあ、寿命だったんですね…」と言ったら、「そうじゃないんだ、屋上から飛び降りたんだよ…」と医師は言った。僕は「は?どういうことですか?」と聞くと、「彼女の机にメモがあってね、そこには"これ以上あの人と一緒に居たら死にたくなくなっちゃう。だから、楽しい記憶だけのときに…」と言った。僕は、現実が受け止められなかった。とりあえず、彼女のお通夜に行く準備をする…
お通夜に行った帰り、彼女がくれた手紙を思い出して開けてみた。僕は、ハッとして息を呑んだ。そこには
"大好き。好きにならないでって言ったのに、自分が好きになっちゃった。楽しかった。ありがとう。"
短い文章ではあったが僕は、嗚咽と涙が止まらなかった。
「僕も、君のことが大好きだ…」と言いながら僕は、その場に膝をついた。
桜散る夜にもう会えない彼女を思い、涙が止まるのを待っていた。
夢見る心
「昨夜、男性が女性を刃物で殺した事件がありました。警察によると…」
ある日、彼から相談があった。
「最近、誰かにつけられてる気がする。」と
「そうなの?女の人?男の人?」と私が質問すると
「女の人だったんだけど、めっちゃ怖かった。」
「スートーカーなんじゃない?」というと
「そうかもしれない。」と真剣そうな顔で言ってきた。
そんなに、怖いなら殺してしまえばいいのに。と心の中で呟いた。私だったら…と考えていると彼が
「明日、帰ってくるの遅いかも。なんか、部長がさぁ…」と仕事が長引く用事ができてしまったらしい。彼は、誰もが知っている会社で働いているらしい。常に忙しいのだ。それなら、そんな彼をつけているストーカーを探したいと思った。
それから、毎日私は一晩中彼のあとをつけた。でも、特に怪しい人はいなかった。逆に、私が誰かにつけられてる気がした…
彼を付け回してから3週間後の日
その日も、いつものように彼を付け回していたすると急に彼が振り返ったのだ。私は、電柱に急いで隠れた。でも、バレてしまったらしい。
「出てこい。」私は、降参し電柱から姿を現した。すると
「やっぱり、君だったんでしょ?僕のストーカー。」と言った。どういうことか、彼がストーカーに追われているというので彼を付け回していたのに。この人は彼じゃなかった。この人は何を言っているんだろうか。
「そんな、不思議な顔しなくてもわかってるでしょ?僕と付き合う前も、僕のストーカーしてたよね?」とニヤッとしながら彼は言うので
「なんで、?」と聞くと
「君はいつでも、僕のことを1番に考えてくれるから。僕が相談すればついてくるかなと思って…あっそういえば、お前も出てこいよ!」と彼は言うと、私の後ろな彼がいた。私は、道路で彼と彼じゃない誰かにはさみうちされていた。よく見れば、二人とも顔が似ていた。
「嘘…」
「嘘じゃないよ。"双子"なんだよ僕たち。気づかなかったの?」
「ごめんなさい。」怯えながら私は言った。そうだ。忘れてた。彼は、嫉妬ぶかかった。
「なんで、僕が今の彼氏だってわからなかったの?なんで?なんで?」そんな彼の手には刃物があった。どうしようそんなことを考えていたら遅かった。私のお腹に、刺さっていた。私は意識をなくした。でも、彼らはニヤニヤとしていた。
…「昨夜、男性が女性を刃物で殺した事件がありました。警察によると…お互いがストーカーだった。そう、…」
…「嫌なニュースばかりだな〜」と私は病室でテレビを。見ていた。なぜか知らないけど、私は昨夜お腹に刃物が刺さっていたらしい。それを、近くに住んでいる人が発見して搬送してくれたらしい。私は、記憶も曖昧になってしまった。この夢見る心は真なのか嘘なのかこのニュースを見ると、頭が痛くなる…
届かぬ想い
「どうして?…」と言いながら僕は、気を失った。
僕には彼女がいる。とても優しい。その彼女と付き合って10年が経とうとしている。もう少ししたら、彼女の誕生日だ。僕は、花屋に行って花を選んでいた。まだ、数週間早いけどまぁいっかという気持ちで花を選び購入した。そして、彼女の家に泊まったとき指を内緒で測って婚約指輪を作った。僕は、彼女にプロポーズをしようと思う。でも、今日は早めに花束だけを渡そうと決めた。彼女の家に向かった。
ピンポーン…ガチャ
「は〜い。あれっ?どうしたの?」と聞く彼女の目の前に僕は花束を差し出す。
「ちょっと早めの誕生日プレゼント!花束!」と僕。
「わぁ!綺麗!誕生日当日まで枯らさないようにしなくちゃっ!」というので、僕は嬉しかったし早く彼女の誕生日が来てほしいも思った。
「部屋上がってく?」というので、
「じゃあ少しだけお邪魔しようかな。」と言うと、
「ちょっと、待っててね!部屋片付けるから!」と言って部屋の中に姿を消した。15分程度待っていたら、
「おまたせ!」と彼女が言うので、僕は部屋の中に入った。
彼女の部屋に入ったのは久しぶりだった。ここ最近は、断られてばかりだったから。それから何時間かしたあとに、僕は彼女の部屋を出て家に帰った。
誕生日当日、僕は指輪を準備した。今日僕はプロポーズをしようと思う。この10年間彼女に尽くしてきた。だから、断られるはずがない。彼女の家につく。
ピンポーン…ガチャ
「いらっしゃい〜。」と彼女が言って、中に上がらせてくれた。
「お邪魔しまーす!」と僕が靴置き場の靴を整頓していると、明らかに僕ではない知らない男性の靴が一足あった。僕は、彼女のお父さんのかと思いそのときは気にとめなかった。だが、誕生日会が進むにつれて彼女の部屋に違和感を感じた。まず、エプロンが前は一個だったのに2個になってること。洗面台の歯ブラシが2個になっていること。さまざまな場所で僕ではない誰かを家に上げた形跡が残されていた。そんなことを考えながら彼女を見るとケータイばっか見ていた。家に来てからずっとケータイで何かやり取りしている。もしかして…そんなことを思いながら、彼女と何か話すきっかけを作ろうも思い
「ねぇねぇ!僕がプレゼントした花束って…」そこまで言うと彼女は、
「あぁ〜、枯れちゃった。だけど、ドライフラワーにして、飾ってあるよ。」と彼女が指を差した方を見ると飾られてた。嬉しかった。でも、嬉しい時間はつかの間だったドライフラワーを見に行こうと彼女に背を向けた瞬間。ドンッ!と鈍い音が鳴り、後ろを向くと知らない男がいた。彼が持っているバッドの先には血が付いてる。僕の頭から、温かいものが垂れる。血だった。
「どうして?…なんで?誰その人、せ…説明してよ。」と彼女に言うと、彼女は冷めた目をして、
「うるせぇんだよ。私はずっと我慢してきたの。好きでもない人から金だけとるために一緒にいたの気づかなかったの?ハハハッ。あなたに最初から好意なんてなかったのよ。」と言った。すると、僕のズボンの左ポケットから何かが出てきた。あぁ、そうだった。彼女にプロポーズをする予定だったんだ。
僕は、男性に首を縛られてる。彼女と目が合う。笑ってる。僕は、息ができなくてもがく。すると、上からドライフラワーが落ちてきた。
ドライフラワーのように色褪せた僕の届かぬ想いは、彼女に伝えられなかった。