コンクリートが砕けてボコボコになった道。
辺り一面の田んぼ道をゆっくり歩く。
時折、髪をなびかせる風が吹く。
ふと空を見上げる。
昔、空を飛んでみたくて、
家の裏でこっそりと
ホウキにまたがってみた事を思い出す。
あの時は、黒い服に黒猫がいなかったから
飛べなかったんだ!
と、少女のような事を考えながら
心地よい風を感じている。
あー、私も鳥のように空を飛べたらなぁ…
もう一度、ホウキにまたがってみようかな?
黒い服を着て…
#鳥のように 8/21
自分には似合わないおしゃれなカフェ。
そわそわしている。
ワイヤレスイヤホンを片耳につけ、
自分史上最高に気取ってみせる。
目の前には、カフェオレ1つ。
本当は季節限定のフルーツが添えられた
おすすめのパンケーキも食べたい。
でも、いい年した大人が、
オシャレな皿に
オシャレに盛り付けられたパンケーキを
一人で食すのはなんだか恥ずかしい。
「美味しーい」
と、顔がほころんでしまうところを
見られるんじゃないかと思うと余計に恥ずかしい。
ブラックコーヒーは飲めない。
パンケーキにはブラックコーヒーが合うだろう。
そんな事を考えながら、
目の前のカフェオレを飲み、
スマホで特に興味もない記事を読んでみる。
むやみにおしゃれなカフェに一人で入ってみるものではない。
気持ちが落ち着かない。
憧れの1人おしゃれカフェ。
やめよう。
さようなら、憧れの1人おしゃれカフェ。
でも、まだ行ってみたいカフェはたくさんある。
さよならを言う前に、もう一度チャレンジしてみようかな?
#さよならを言う前に 8/20
リビングから聞こえるテレビの声。
「今日も全国的に暑くなるでしょう。」
洗面台の前に立ち
寝癖なのかわからない程の強情なくせっ毛を濡らす。
メイク道具に手を伸ばし、
汗で落ちるだろうメイクを施し、
ため息が出る。
強情なくせっ毛も、
汗でまたグチャグチャになるだろうな。
と思いながらアイロンをかける。
着替えをすませ、玄関を開ける。
青い空にグレーの雲。
快晴ではない空の向こうには、
黒い雲。
傘を持って出かけよう。
#空模様 8/20 初投稿